各地の菓子店探訪
静岡県菓子店の投稿

静岡県富士市 株式会社「田子の月」

お菓子で社会貢献!

株式会社「田子の月」本店 静岡県菓子工業組合、年頭の「春季例会」では映画解説者の小澤正人様の「お菓子にまつわる映画のお話」を映画のスクリーンを観ながら、懐かしい俳優の姿に若かりし頃を思い出し楽しく拝聴しました。今年も順調な組合活動が期待された矢先、新型コロナウイルスの感染拡大により3月に計画されていた視察研修旅行も延期となり、業界にも様々な影響が表れ、特に観光面の打撃は大きく深刻な問題となっています。ワクチンや新薬の早い開発が望まれます。毎日、新型コロナウイルスの暗いニュースが流れる中でお菓子の明るいニュースをご紹介いたします。

当県組合員である静岡県富士市の株式会社「田子の月」牧田桂輔社長が地元の小中学校の卒業生に同店の銘菓「もんぱり」と「富士山御蔭餅」一個ずつセットで入った袋、4762人分を寄贈されました。新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴って卒業式縮小を余儀なくされた子ども達を元気づけようと行われたもので、袋には「逆境さえも力に、力強く歩んでいって下さい」と牧田社長からのメッセージが添えられていました。セットの袋詰めは各店舗の店員さんが一つ一つ丁寧にお祝いの気持ちを込めておこなったもので、この様子は県内最大手の「静岡新聞」に「菓子で卒業生笑顔に」の見出しで詳しく紹介されました。牧田社長は「通常の形で卒業式が開けないことは残念だが、こんな時だからこそ皆で智恵を絞り思い出に残るものにしてあげたい。笑顔になってくれれば」と話し、代表して寄贈品を受けとられた同市教育長は「温かな心遣いで、地域への感謝の気持ちが強くなる。きっと感謝を返せる大人になってくれる」と謝辞を述べられ、お菓子セットは卒業式当日、一人一人に手渡されました。

牧田桂輔社長は祖父(良三氏)が富士市に昭和27年開業し現在、県内に22店舗を展開する株式会社「田子の月」の3代目社長として、先代から地域への愛着と感謝の心を忘れず、時代の変化にも積極的に挑戦していくという社風をしっかりと受け継いでこられました。

新型コロナウイルスという未知の不安と縮小された卒業式の中で頂いたお菓子の味は格別なものだったと思います。これこそ大きな社会貢献であり子どもたちは勿論、関係者の皆さんを元気づけたことでしょう。

東日本大震災の発生直後、静岡県沼津市では被災された岩手県大船渡市(現齊藤理事長の地元)の小学生数百名を沼津夏祭りに招待し、祭の花火や子ども達との交流を楽しんでもらいました。帰りのおみやげに市内の菓子店が同じ様に自店の銘菓に励ましのメッセージを添えてプレゼントをした事があります。その時、お菓子を手にした子ども達の笑顔の素敵だったことを思い出しました。

 静岡県菓子工業組合顧問理事・森田紀