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俳句ポストに投函して入選

素朴な和菓子を後世に伝える

りんまん雛人形 あれは、コロナが流行り始めた頃だったと思いますが、ステイホームで家にいる時間が多くなったので、俳句を作って、松山市の俳句ポストに投函するのですが、なかなか入選できません。それもそのはず、投稿句が何千もあり、入選するのは23句だけです。

 あきらめかけていたとき、テレビで夏井いつき先生が俳句の添削をする「プレバト」という番組を見ました。その時分かったのは、普通の人があまり目を付けないような小さな事柄を、ことさらクローズアップして書いた方がいいという事でした。そして思い出したのがお遍路さんでした。私の住んでいる松山市は、俳都松山と言われるくらい俳句が盛んで、夏井いつき先生も松山ではありませんが、愛媛県のご出身です。
 私が思い出したのは、道後温泉の入口にある、からくり時計や足湯がある「放生園」でした。

 そこに何人かのお遍路さんが休まれていて、足湯に足をつけ、一緒に遍路杖も足湯に入れておられる光景でした。そのとき、「これだ」と思い、「春へんろ足湯に杖もそっとつけ」と詠んで、その俳句を俳句ポストに投函しました。

 ところがその俳句が入選しました。しかし、俳句は先生によって添削されていて、添削された俳句は、「徒へんろ足湯に杖もそつとつけ」になっていました。

 徒(かち)へんろとは、歩き遍路のことです。俳句ど素人の私は、徒へんろだと季語が無いと思ったのですが、遍路自体が春の季語だということが分かりました。例えば、秋の遍路の場合は、ことさらに秋遍路というそうです。また、そっとつけだと、4文字になり、そのためわざと、そつとつけと、「つ」を大きく書くのだそうです。

 遍路の世界では、杖はお大師さんの代わり、あるいはお大師さんそのものと言われ、歩き遍路で道後までたどり着いて、お大師さんも足湯にお入りくださいという気持ちと、やはり杖は汚れているので、他の観光客の方に遠慮しながら、そっとつけた気持ちを俳句に詠みました。

 話は変わりますが、松山の俳人の明治の随筆におりんまんというのがあります。おりんまんは松山に古くからある和菓子で、桃の節句にお雛様にお供えされていた、可愛らしい和菓子です。他県でもいが餅という名前で同じようなもち菓子があります。当店では、上に乗せたもち米が魚の鱗のようで、鱗(りん)まんと言われるようになったと伝えられています。

 おそらくりんまんは、江戸時代末期にはあった菓子だとおもいます。
 松山を代表する俳人正岡子規なども、りんまんを食べながら俳句を作ったと思うと、こうした素朴な和菓子も後世に伝えていけたらと思っています。

 コロナで組合活動がほとんどできないため、書く記事も無く、俳句の話になって申し訳ありません。

 愛媛県菓子工業組合広報部長・白石惠一

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