各地の菓子店探訪
青森県菓子店の投稿

御菓子司 双味庵

伝統のアップルパイで地域活性化

昔ながらのアップルパイ(カット) 青森県は言わずと知れた林檎の一大産地ですが、当支部のある弘前市は林檎生産量が日本一の林檎の街です。

 そんな弘前市ですから、アップルパイを提供している洋菓子店はもちろん、和菓子屋やベーカリー、レストラン、喫茶店、ホテルなど数えるだけでも40店舗以上のお店で提供されています。

 そんな地元に根ざしたアップルパイを町おこしにと、地元観光協会が2010年から『弘前アップルパイガイドマップ』を作成し、市民はもちろん観光客にも各店独自のアップルパイの食べ歩きをしてもらおうと広く宣伝活動をしています。

 その様々な提供店の中でも、今回は昔から地域で愛されている昔ながらのアップルパイを製造販売している『御菓子司 双味庵』をご紹介したいと思います。

大和田善嗣社長と奥様の優子さん 創業は1942年(昭和17年)に初代店主の大和田金蔵さんが和菓子だけでなく洋菓子も販売するハイカラな菓子店としてスタートしたお店です。店名の由来も和と洋の味を提供するお店という意味合いも込めて双味庵と名付けたそうです。

 初代のスタイルに、更に城下町で茶道文化も盛んな弘前において、茶席菓子にも力を入れ始め、多店舗経営に発展させた2代目の大和田晃一さん、そして現在は晃一さんのご長男で当組合の監事でもあります大和田善嗣さんが関東(東京、神奈川)での修業を経てお店の後を継ぎ、奥様の優子さんと伝統を守りつつ最新のお客様のニーズにも敏感に対応した老若男女に愛されるご商売をされています。

 そんな双味庵さんですが、アップルパイは50年以上の歴史があります。現在では弘前市中心に洋菓子専門店や洋風なおしゃれなカフェが増え、各店で提供されるアップルパイのスタイルも様々な進化を遂げ、見た目も味も製法も新しい感覚の商品が増えてきている中、双味庵さんのアップルパイは大正ロマンが漂うような、どこかホッとする昔ながらのビジュアルに、使用する林檎も品種は弘前産の紅玉にこだわり、和菓子屋でありながらパイ生地も自店で仕込むというこだわり。紅玉の煮林檎もラム酒とシナモンで香り付けをし、懐かしい風味が口の中いっぱいに広がり、津軽のファンのみならず全国からお取り寄せするファンをも虜にするアップルパイです。

 店舗での販売はもとより、市が管理する観光施設併設のカフェなどにも提供し、ハイカラな城下町『弘前』をアップルパイで盛り上げる一翼をを担ってます。

 まだまだ新型コロナの影響で、地方への旅行も気軽には出来ない状況にありますが、近い将来収束しましたら、是非、津軽弘前へアップルパイの食べ歩きを研修旅行に入れてみてはどうでしょうか!

 青森県菓子工業組合中弘支部支部長・川嶋将晃