各地の菓子店探訪
東京都菓子店の投稿

三裕製菓㈱

ペクチンゼリーを作って50年

ペクチンゼリー 当社は、昭和23年(1948年)に私の祖父である竹内雄蔵が墨田区本所で創業いたしました。創業当初は飴や乾燥洋菓子のフロレットの製造を行っておりましたが、売り上げが思わしくなかった為昭和47年(1972年)から現在のペクチンゼリーの製造に移行しました。

三裕製菓 私が家業を継ぐために入社したのが平成8年(1996年)でしたが、その頃は大手菓子メーカーの下請けの仕事をしており、依頼のあったものを作るだけの商売でした。正直、私は自社のゼリーの味が好きではありませんでした、フルーツのゼリーなのに甘いだけ、ゼリーなのに硬くて粘るといった代物でした。折角メーカーとして物を作れる環境があるのだから、自分の好きな味を作りたいと入社して4年目ごろからゼリーの試作を始めました。そのころはちょうど千葉県柏に工場を移転し、売り上げも厳しい時期でした。試行錯誤を繰り返しているときに東京都菓子工業組合の平塚製菓様から声をかけていただき、チョコレートのセンターとしてゼリーを使うお仕事を頂きました。国産の温州みかんの果汁を使うもので、今まで国産の果汁など意識して使用したことがなく、酸味や香りにも拘ったこのゼリーを作ったことが現在製造しているゼリーの基礎となりました。また原材料にも拘り、砂糖や水飴も変え国産の果汁もいろいろな種類を探すようになりました。現在では、りんご、ぶどう、レモンなど10種類以上の国産果汁を使いゼリーを製造しています。またフレーバーも本物にいかに近いものにするかを考え選ぶようになりました。

 今では、各地方からもお話を頂くようにもなり、父島のレモンとパッションフルーツの果汁を使用したゼリーや鹿児島のゆずとみかんそして黒酢を使用したゼリーなどを製造しています。工場が千葉県にあるということで、千葉県産の苺やブルーベリーのゼリーにも取り組んでいます。

 今年で創業74年になりますが、祖父、父と繋いでくれた会社をしっかりと守り、次の代に繋いでいけるように更なる味の追求をし、安心安全なゼリーを製造していきたいと思います。

 東京都菓子工業組合常務理事・竹内豪(三裕製菓㈱代表取締役社長)