各地の菓子店探訪
高知県菓子店の投稿

~のしや本家~

老舗の伝統の味

小夏 高知市から西へ国道56号線を車で30分位行きますと土佐市内へ入ります。土佐市高岡町はその昔より果樹栽培が盛んな土地柄で、山里には沢山の"小夏""文旦"等を作っている果樹農家が多くおられ、この果樹を使ったお菓子をメインに永年商いをされている老舗の「のしや本家」さんへお伺いし、5代目社長の高橋光雄ご夫妻にお話しを聞かせていただきました。

仁淀ブルー 「創業は江戸時代後期の嘉永年間に菓子処として開業し、今現在は私で5代目になります。製造は主に息子夫婦が中心となって工場の運営を行っています。私ども、南国土佐特産の"小夏"を使った菓子が主力となったのは昭和の初めごろに小夏の「商標登録」の許可がおり、菓子への使用ができるようになったので小夏の香りと風味を大切にお菓子へ閉じ込める努力を試行錯誤しながら作り上げた結果、現在の土佐名産菓子になったと思っております。今も"小夏の皮"は機械ではなくひとつひとつ手作業でむき、蜜漬け等行っています。」とお話しいただきました。

 5代目の光雄氏は土佐市の商店街の中でいろいろ役職をし、平成27年には旭日雙光章を受賞された方で地区の名士でもあります。当組合でも永年副理事長を務め、現在は相談役の立場で組合に携っていただいております。

のしや本家 6代目となる宏暢氏が製造を主にされていますが、地元の果樹や野菜など取り入れた新しい創作和洋菓子にチャレンジし商品化に向け取り組んでいます。土佐市は仁淀川下流域にあたるため、全国的に有名になった仁淀川をモチーフとした涼しさを呼ぶ色鮮やかな錦玉の「仁淀ブルー」を開発し、昨年から販売し好評を得ています。他にも、流しもので"しょうが"を使用したゼリーや小夏ゼリーなど地元食材を使った夏場の商品も充実した構成になっているので、今後も楽しみな次期社長にエールを送りご期待しています。また、宏暢氏は高知県菓子工業組合でも常務理事に就任され組合の中心人物となっております。こちらも、今後の活躍に期待しております。

 「のしや本家」の店舗は、老舗の香りがする店内に明治時代以降の木型や金型、調度品が置かれており、来店客の方に楽しんでいただく展示になっています。老舗の伝統の味を5代目から6代目へ受け継がれていく歴史を感じ、また独特の美味しさや技術を今後も代々伝授して守り続けていただきたいと心から願っています。

 高知県菓子工業組合事務局・森下広和

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