ひな祭りとともに伝える佐賀の味-
丸ぼうろ実演がつなぐ菓子文化

地元佐賀で長く愛され続けてきた伝統菓子「丸ぼうろ」は、素朴でやさしい甘さと、しっとりとした食感が特徴の焼き菓子である。その起源は江戸時代ともいわれ、オランダ菓子の影響を受けながらも、良質の小麦が穫れる佐賀の風土とともに独自の発展を遂げてきた。小麦・砂糖・卵というシンプルな材料で作られる丸ぼうろは、世代を超えて親しまれ、今なお佐賀を代表する銘菓の一つとして多くの人々の記憶に残っている。
毎年春に開催される「佐賀城下ひなまつり」は、佐賀城下町一帯を舞台に、歴史ある雛人形や町並みを楽しめる催しとして県内外から多くの来場者を迎えている。その中で、来場者の注目を集めているのが、丸ぼうろの実演試食販売である。会場では職人が一枚一枚丁寧に焼き上げ、焼きたてならではの香ばしさと、ふんわりとした食感をその場で味わっていただくことができる。初めて口にした方が「こんなにおいしいとは思わなかった」と驚き、笑顔になる瞬間は、私たち菓子業に携わる者にとって何よりの喜びである。

今年も佐賀城下ひなまつりには、佐賀県菓業青年会に所属する菓子店の中から実演を担当する企業が参加し、丸ぼうろの魅力を直接伝えていく。ひな祭りという日本の年中行事と、丸ぼうろという地域に根付いた伝統菓子を結びつけることで、単なる販売にとどまらず、文化としてのお菓子の価値を発信する機会となっている。
佐賀県菓業青年会として、私たちは先人が守り育ててきた菓子文化を次の世代へとつなぐ役割を担っている。城下町の歴史とともに受け継がれてきた丸ぼうろを、ひな祭りという場を通じて多くの方に知っていただくことは、地域文化の継承そのものである。これからも佐賀の菓子業界を担う若手として、伝統を大切にしながら、新たな出会いと感動を生み出す取り組みを続けていきたい。
※写真提供(株)北島
佐賀県菓業青年会会長・福井健一郎
全国菓子工業組合連合会