各地の菓子店探訪
大阪府菓子店の投稿

株式会社 丸赤製菓糸田川商店

糸田川優子氏

 さて今回は、大阪市東淀川区にある株式会社丸赤製菓糸田川商店様を訪問させて頂きました。大変お忙しい中、4代目であられる糸田川優子氏からお話しをお伺いする事が出来ました。糸田川優子氏は現在も全菓連青年部の近畿ブロックでも副ブロック長として大変ご尽力頂いております。今回の機会は、単なる企業訪問にとどまらず、日本の菓子文化の継承と進化を肌で感じる非常に意義深い時間となりました。

 まず印象的であったのは、1926年に天満で創業されたという長い歴史があると言う事です。約100年にわたり暖簾を守り続けてきた背景には、時代の変化に柔軟に対応しながらも、決して揺らぐことのない「ボンボンづくり」への強いこだわりがあると感じました。現在は4代目の糸田川優子氏が2022年に就任され、若さと新しい発想を武器に次の時代へと歩みを進めておられる点が非常に印象深くパワーを感じました。

 また、東淀川区に拠点を移してから約50年という歴史の中で、地域に根差したものづくりを続けてこられたことも特筆すべき点であります。工場ではパートの女性スタッフが7名から14名体制で製造に携わっており、繁忙期である9月から2月末にかけては特に活気に満ちた現場となります。繊細な作業を要するボンボンづくりにおいて、こうした熟練の手仕事が品質を支えていることを強く実感致しました。

bonbon

 今回の訪問で、ボンボンの製法を改めて勉強させて頂きました。

 まず初めに、重要なのが砂糖シェルの製造です。砂糖と水を炊き上げて糖液を作ります。そして、その糖液にお酒を入れて配合・撹拌致します。ボンボンはここから始まります。そして感覚でしかできない絶妙な硬さのコーンスターチの型に、ボンボン(糖液)を流していきます。充填後は3時間ほど寝かし、反転させ翌日まで乾燥・結晶化させます。そうすると砂糖の再結晶によりボンボンが出来上がります。外側は砂糖で内側はシロップ状になり、さらにしっかりと乾燥させた後、ボンボンをコーンスターチから取り出し、粉を除去すると光沢のある砂糖シェルの完成です。次にチョココーティングの工程です。出来上がった砂糖シェルを手作業で検品しながら、エンローバーでチョココーティングをして行きます。最後にしっかりとチョコを乾燥させひねり包装で個包装をして完成となります。製造には4日~5日ほどかかります。

 現在の主な商品は、ウィスキー、ブランデー、ワイン、ジン、日本酒、梅酒、焼酎、ですが、最近では「ボンボン」というカテゴリーそのものを再定義しようとする挑戦が見られる点が非常に興味深いと思いました。特に「お酒=ボンボン」という従来のイメージにとらわれず、ノンアルコールボンボンの開発に取り組んでいる点は、若い世代へのアプローチとして非常に戦略的であると感じました。ボンボンの本質である砂糖のシェル、その起源がフランスにあることを踏まえながらも、日本独自の進化を遂げている点に大きな価値があると感じました。

 さらに、夏向け商品として4月中に製造されるマスカットボンボンなど、季節に応じた商品展開も工夫されており、製造量としても360㎏~400㎏規模と、決して小さくない生産を維持されている点に企業としての安定感と技と職人の努力が強く感じられます。

洋酒4種

 4代目のこれまでの経歴も非常にユニークで、以前は幼稚園で水泳インストラクターを務められ、さらにはベストボディーの大会に出場されるなど、多彩な経験を持たれています。さらにスキー、ゴルフ、ダイビングといったアクティブな趣味を持ち、そのエネルギーが経営にも良い影響を与えていると感じました。異業種での経験が、従来の枠にとらわれない発想につながっているのではないかと強く感じます。

 特に印象に残ったのは、「懐かしいお菓子としてではなく、若い世代に向けて製造していく」という明確なビジョンがありました。長年にわたり製造販売してきたお菓子は〝昔ながら〟に留まってしまう存在であるが、株式会社丸赤製菓糸田川商店様ではそれを〝これからの菓子〟として再構築しようとされておられます。その姿勢は、単なる伝統の継承ではなく、未来への挑戦そのものであります。

 現在、ボンボン専業として製造を続けている企業は日本でここだけであり、さらにOEMも多くされているというビジネスモデルも含め、「日本唯一」の存在である点は非常に大きな強みでもあります。この唯一無二の技術とポジションを、いかに次世代へと繋いでいくか。その使命感が、今回の企業訪問を通じて強く伝わってきました。

 株式会社丸赤製菓糸田川商店様は「伝統」と「革新」を高い次元で両立させている稀有な企業であり、その取り組みは菓子業界のみならず、多くのものづくり企業にとっても良い影響を与えて頂けると感じました。今後、若い世代への発信をさらに強化しながら、日本発のボンボン文化を世界へ広げていかれることを大いに期待しております。

 全菓連青年部近畿ブロック長・関雄介

店舗データ

株式会社 丸赤製菓
糸田川商店
代表者:糸田川 優子
所在地:〒533-0011
    大阪市東淀川区大桐5丁目1-20
T E L:06-6329-2392
F A X:06-6328-8872
設 立:昭和34年(創業大正15年)
資本金:1000万円