熊本お菓子まつり
~文豪・夏目漱石来熊130年を記念した特設コーナーが人気~

熊本県内のお菓子が一堂に集まる恒例の「熊本お菓子まつり」が、2026年6月10日から15日まで鶴屋百貨店で開催されました。今年も恒例の「どら焼き味比べコーナー」や「熊本銘菓コーナー」が設けられ、多くの来場者で賑わいましたが、特に注目を集めたのが「夏目漱石来熊130年記念コーナー」でした。
文豪・夏目漱石は明治29(1896)年、第五高等学校(現・熊本大学)の英語教師として熊本に赴任し、約4年間を過ごしました。その間「二百二十日」「草枕」「三四郎」の、いわゆる「熊本三部作」を執筆しました。2026年から2027年にかけては、漱石の来熊130年を記念し、県内各地でさまざまな関連事業が予定されています。
今回の特設コーナー誕生のきっかけは、昨年の熊本お菓子まつりで130年前のレシピをもとに明治時代の菓子を再現した企画が話題となり、それを見た草枕交流館の館長さんから声が掛かったことが縁となって、夏目漱石をテーマにした菓子開発へとつながりました。
会場では、「漱石文化みらい会議くまもと実行委員会」の協力により、夏目漱石の顔の上に猫が乗ったユニークなデザインのシールを使用。各店舗が焼菓子2個セットを用意し、それぞれ工夫を凝らしたラッピングにシールを貼って販売しました。文学ファンや猫ファンだけでなく、土産物を求める来場者からも好評を博しました。

また、コーナーには14種類の羊羹が並び、来場者の目を楽しませました。栗羊羹、黒糖羊羹、塩レモン羊羹、柚羊羹、苺羊羹など、多彩な味わいが揃いました。漱石は無類の甘党として知られ、小説「草枕」の中には「菓子皿のなかを見ると、立派な羊羹が並んでいる。余はすべての菓子のうちでもっとも羊羹が好だ」との一節もある。こうした文学的背景を踏まえた展示は、多くの来場者の関心を集めました。
さらに会場では、毎年人気を集める「どら焼き味比べコーナー」も開催されました。県内の菓子店が腕を競い、それぞれ自慢のどら焼きを出品しました。生地の食感や甘さ、餡の風味など店ごとの個性が際立ち、来場者は食べ比べを通じて熊本の菓子文化の奥深さを楽しんでいました。今年は22種類のどら焼きが並び、「去年美味しかったものをまた買いにきました」「種類が多すぎて選ぶのに悩む」等の声も聞かれました。
また、21種類の商品を集めた「熊本銘菓コーナー」も好評で、長年親しまれてきた定番商品から地域色豊かな菓子まで幅広く紹介されました。中には遠くの知り合いに送りたいなど、土産品や贈答品として買い求める姿も多く見られました。
文学をテーマにした夏目漱石コーナーとともに、こうした人気企画が会場を盛り上げ、熊本の菓子文化の魅力を広く発信する機会となりました。伝統と創意工夫、そして地域の歴史や文化が融合した今回の熊本お菓子まつりは、多くの来場者に熊本の新たな魅力を再発見させる催しとなりました。
熊本県菓子工業組合事務局・野田尚美
全国菓子工業組合連合会