どらやき製造世界一の丸京製菓
自社ブランドから地域ブランドへ

鳥取県には、菓子製造の分野で、知る人ぞ知る世界一がある。
丸京製菓㈱(米子市旗ヶ崎、鷲見浩生社長)は、世界一のどらやき生産量(※単一工場の生産量世界一、同社発表)を誇る地元有数の菓子メーカーだ。現在では全国のスーパーや量販店に商品を展開し、海外20カ国以上にも輸出。鳥取県発の和菓子ブランドとして国内外へ販路を広げている。
1958年、和菓子店を引き継ぐ形で創業。「そば饅頭」「栗じまん」「味の銘菓」など、各時代で大ヒット商品を生み出していった。
現在の主力商品である、どらやきの製造を始めたのは1990年。それまで培った餡づくりの技術を生かして作られた、どらやきも、瞬く間に同社の大ヒット商品となった。
その後、段階的に生産体制を増強していき、1994年にはどらやき専門店を開店するなど、同社の主力商品として成長を遂げていき、現在では「どらやきといえば丸京」と地元で認識されるほどのブランド力を築いている。現在のどらやき商品ラインナップは「極」、「雅」などのプレミアム6種を含め9種。同社ではこのほか各種蒸し・焼き饅頭などを製造している。
興味深いのが、同社が手に入れた「世界一」の称号を、自社だけのものとせず、地域のブランドへと発展させた点だ。
例えば同社では「どらやきのまち米子」として、米子市にゆかりのある人物を「どらやき大使」に任命したり、スポーツや芸術・文化活動を応援する「どらドラ市民基金」の取り組みを行ったり、4月4日を「どらやきの日」と定め、イベントを実施したりと、米子市全体の活性化にも取り組んでいる。これについて同社では「どらやきは私たちだけでなく、美味しさを引き立ててくれる氷温技術など、米子のみなさんと一緒に育てたもの。世界一は米子のまちの誇りです」と説明する。
日本一、世界一というと、観光地や歴史、農林水産物に目が向きがちだ。しかし、同社のような地元産業の強みも、地域を象徴する重要な資源になり得る。
そして丸京製菓が半世紀以上積み重ねてきた菓子作りは、どらやきに限らず「地方から全国へ、そして世界へ」という明確な戦略を実践してきた歩みでもある。実際に同社では韓国、中国、台湾といった東アジア諸国、そしてアメリカ、オーストラリア、ヨーロッパへと、輸出拡大を図っている。
全国、そして世界へ商品を送り出す丸京製菓。同社が築いてきた「日本一、世界一」は、これからも米子、そして鳥取県の重要なブランドの一つになっていくだろう。
鳥取県菓子工業組合理事長・小谷治郎平
全国菓子工業組合連合会