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工芸菓子と菓子博

より良い作品作りを目指して

あさひかわ菓子博 名誉総裁賞受賞 工芸菓子「雅」

 私が工芸菓子を作るきっかけとなったのは、東京での修行を終え函館に戻った2002年、熊本菓子博を見学した時のことでした。菓子博がどのようなものかも分からず訪れた会場で、初めて目にした工芸菓子。そのスケールの大きさと美しさに圧倒され、「どうやったらこんなものが作れるのだろう」と思ったことを今でも覚えています。

 函館に戻ってから、和菓子の本や昔の資料を読み漁り、独学で作り始めました。最初は小さな一輪挿し。それも今思えば、生地が分厚く、造花のような出来栄えでした。それでも試行錯誤を重ね、地元の研究会や菓子のイベントにも工芸菓子を出品するようになりました。

 その後、姫路で開催された菓子博を訪れ、作品を何度も見て細部まで観察するうちに、「見るだけではなく、自分もここに作品を出そう」と決意しました。そして2013年の広島菓子博に初出品。北海道から繊細な作品をどう運ぶかが大きな課題でした。作品を分解できる構造にし、段ボールや木枠で梱包。ハイエースに積み込み、函館から苫小牧へ、フェリーで敦賀へ渡り、さらに広島まで自走しました。

 広島で得たものは、出品経験だけではありませんでした。それまで接点のなかった全国の作り手と出会い、当時の大阪二六会の西尾会長に声を掛けていただいたことをきっかけに、全国の研究団体との交流や技術コンテストへの出品へとつながり、次の伊勢菓子博にも出品しました。

 そして2025年、あさひかわ菓子博。今度は出品者であると同時に、実行委員会の工芸菓子担当として迎えることになりました。全国の皆さんの協力により、多くの工芸菓子を北海道に集めることができました。

 熊本で工芸菓子をただ見つめていたあの日から23年。自分の住む北海道で菓子博を迎え、運営に携われたことは、何ものにも代え難い経験となりました。

 次回は2029年、岐阜県大垣市での開催と伺っています。これまで多くの方に支えていただいたように、今度は北海道からできる限りの協力をしたい。そしてもちろん、私自身もさらに良い工芸菓子を目指し、再び出品に挑戦したいと思っています。

 株式会社吉田食品・代表取締役・吉田貴之

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