商品紹介「小夏最中」
人々の繋がりと想いが紡ぐ

今回ご紹介させていただくのは高知県土佐市で嘉永6年創業の「のしや本家」で販売しております「小夏最中」です。この商品は餡に小夏を練り込んだ風味豊かな最中です。
小夏(こなつ)とは小さい夏と書いている様に夏初月(4月)ごろから七夕月(7月)ごろまでが旬の果物で、温州みかんほどの大きさで鮮やかな黄色い皮に包まれ甘酸っぱさが特徴の柑橘類で、土佐市を中心に古くから栽培が盛んに行われています。
この商品の開発に至る経緯は大正から昭和へと時代が移り変わる頃、天候不良が続き多くの小夏が収穫前に枝から落ち、その現状を悲しんだ農家の方々が親交のあった3代目高橋靖七と4代目高橋善一郎の下を訪れ「この小夏をどうにか利用することはできないものか?」と相談され、この現状を憂い一肌脱ぐこととなりました。ただ当時は果物をお菓子へと転化するという考えが乏しく、また小夏本来の風味・甘酸っぱさを残すことも相まってかなり試行錯誤を繰り返されたそうです。
その中で果肉よりも風味が強く残る皮並びに触感のある甘皮に着目し、その部分のみを取り出し、えぐみを取り除き小夏の風味をそのままに残した蜜漬けを作ることに成功しました。それを餡に練り込んだ羊羹を作り振舞ったところ好評となり、商品化への道筋ができたそうです。今では栄養価の面からも着目され利用が広まっている皮部分を使用する方法ですが、この時代にこの点に着目するあたり先見の明があったものと思われます。

この流れの中もう一工夫したものをと思案し、見て楽しめ大切な方への贈り物としてその方を笑顔にさせる一翼を担えるものをと考える中、小夏は柑橘類の代表であるみかんの様な食べ方ではなく薄皮を林檎の様に剥き、串型に切って食べる点の違いに注目し、みかんを食べる房のような最中を作り小夏の餡を包むことはできないか?そしてそれを組み合わせ丸型に束ね小夏を模したものにできないものか?という発想から「小夏最中」が出来上がったそうです。そして発売当初より地域の方々に愛されてきた「小夏最中」は屋号である「のしや本家」と云えば小夏最中というほどに広がりを見せる商品へと成長しました。
このように土佐市で培った人々との繋がり・その想いが紡いだ小夏最中を代々受け継ぎ伝え続ける「のしや本家」の歴史の香りを高知に来られた際はお店に立ち寄っていただき味わっていただければ幸いです。
高知県菓子工業組合事務局長・森下吉広
全国菓子工業組合連合会