今年も技能検定に挑戦
技術職人育成を組合で取り組む
以前も紹介しましたが、岡山県におきましては和菓子製造の技能検定を実施しています。1級合格者には厚生労働大臣より2・3級合格者には県知事より合格証書が交付され、技能士と称することができます。平成26年度後期試験も㈱源吉兆庵の研究室を会場として行われ、関東及び地元岡山から受験申請があり1級に3名2級に2名が挑戦しました。
種造りから始まる蒸し菓子の製造、高度な技術を要する練り切り製品、羊羹の紋様埋め込み加工・餡すり込み加工、羊羹包丁仕上げ、一文字もの等々多種類の作業に3時間あまりをかけて日ごろ磨いた技術を駆使して取り組みました。
合格者は1級が0名2級が1名という結果に終わりました。ここ数年の結果を見てみますと合格者数がやや少なくなってきているように思われます。その原因のひとつに包餡手細工を始めとする基礎的な技術あるいは幅広い製菓技術を習得する機会が少なくなっているのではないかと思われます。企業としては採算を重視し生産性を上げるため機械化、作業単純化をはかりがちですが、日本の伝統技術を継承するためにもまた、その技術をセールスポイントとして菓子業界を発展させるためにもその習得時間をつくっていただきたいと思います。またひとつ考えられるのは、指導者というか細かなアドバイスのできる技術職人が少なくなってきているのではないかと思えます。全体としては良くできていても、販売するためにはあるいは試験に合格するためには、微妙なコツというかテクニックが必要となってきます。現在では若返りをはかることや、先ほど申しあげた多くの事情からこのような人材の確保が難しくなってきています。できれば、製菓業の集合体である組合が情報提供の場として、技術交流・技術向上の場となれるよう何か考えてみたいと思います。
岡山県菓子工業組合・宮武孝昭