各地の菓子店探訪
岐阜県菓子店の投稿

近藤せんべい本舗

和菓子とせんべいの専門店

2代目近藤昭二さん 「おせんべいは親父から学ぶ事にして、僕は和菓子か洋菓子を勉強したかったんですよ。そうすれば、技術の幅も広がるし、何より親父とケンカしなくて済みそうじゃないですか?実際にはケンカしてましたけど…」

 大垣名物の1つである「大垣せんべい」の銘店田中屋せんべい総本家で職人をされていた初代が独立し、近藤せんべい本舗を創業されたのは今から47年前の事。当時、生まれたばかりだった2代目近藤昭二さんは、毎日忙しく働く父親の背中を見て育ち、小学生の頃には誰に言われるでもなく、将来はお菓子屋を継ぐと心に決めていたそうです。高校を卒業し、さっそく修行に出ることになった昭二さんは、あえて同業のおせんべい屋さんではなく、新たな技術習得に向けて大阪のどら焼の名店「喜久寿」の門をたたかれました。

 大きな夢を持って喜久寿に入られた昭二さんでしたが、最初の1年は大苦戦!和菓子について全く知識が無かったため「蒸篭取って!」と言われても、うまく反応できなかったとか。しかし、1つ1つ確実に階段を上るように、製餡からどら焼、和生菓子の技術と知識を積み重ね、6年半に及ぶ修行のもと1人の立派な和菓子職人になられました。

 その頃、息子の帰りを首を長くして待っていたお父様は、それまで煎餅専門だった作業場を半分にわけ、昭二さんが戻られたらすぐに和菓子が作れるように工房を設立。父と息子の大きな夢が1つの形に向かってゆっくりと動き始めていました。そして昭二さん24歳の2月、近藤せんべい本舗は和菓子とせんべいの専門店として生まれ変わりました。

どら焼 昭二さんが最初に作ったお菓子は、もちろん喜久寿から受け継いだ「どら焼」。今もお店の大人気商品として不動の位置に地位にあるどら焼きは、皮はフワフワほんのり香ばしく、甘さをおさえた餡とよく合い、ついつい2個目に手が出てしまう美味しさ。「生地が焦げる寸前まで火を入れる事で美味しさが引き立つ」という教えを守りつつ、手にしっとりと馴染むような絶妙なバランスを保つために改良を重ねてきた逸品です。また、どら焼と共に近藤せんべい本舗の看板商品になっている珈琲饅頭(秋・冬限定商品)は、昭二さんが修行時代から研究し、試行錯誤の末に完成させた、まさに努力の結晶ともいえるお菓子です。

 和菓子職人として30年近く歩んできた昭二さん。過去には餡が上手に炊けなくて悩んだり、同じ品質のお菓子が作れなくて眠れない夜を過ごした事もあったそうですが、最近はようやくイメージ通りのお菓子が作れるようになってきたとの事。今後はお菓子の種類は少なくても、他のお菓子屋さんには無いお菓子をつくり続け、お客様に「やっぱり近藤せんべいさんじゃないと」と言って頂けるようなお菓子屋さんを目指して、更なる研鑽に努められます。昭二さんの大いなる夢はまだまだ続きます。

 全菓連青年部長・槌谷祐哉

 

店舗データ

近藤せんべい本舗近藤せんべい本舗
岐阜県大垣市静里町293-1
電  話 0584-92-0779
営業時間 8:00~18:00
     月曜休み(祝日営業翌日休み)

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