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「ほとめき」の街久留米の菓子

組合の取り組みと菓子の歩み

久留米のお菓子 「ほとめき」とは筑後の方言で「おもてなし」のことです。この言葉は久留米市が観光PRとして活用しており「久留米に足を運んでほしい」「もう一度訪れてほしい」という願いが込められています。このことは、お菓子屋さんの「うちのお店に来てほしい」「うちのお菓子を味わってほしい」という思いに通じる言葉です。同じ思いから久留米菓子協同組合では、「ほとめき」を使った菓子の新製品を各店で取り組めるよう商標登録を目指しています。地域の人々や久留米を訪れる方々に、愛される菓子が各組合員のお店から誕生するのではと期待しています。

 久留米菓子協同組合のある久留米市は、福岡県の南西部に位置する人口約30万人の中核市です。春には椿、菜の花、つつじが順に満開をむかえ身近に自然が味わえるのが魅力です。
 もともと久留米市は久留米藩21万石の城下町として栄え、明治以降は軍都、その後タイヤや履き物といったゴム加工産業が発展したことから菓子の需要も高く現在でも多くの菓子店があります。久留米発のお菓子では、丸永製菓の「あいすまんじゅう」やクロボー製菓の「黒棒」は全国でも愛される菓子となっています。

 久留米で最も古い菓子店は翠屋主水で、現在の当主の松木貞次さんで12代目です。松木さんは久留米の菓子店の中でも一目置かれる厳しい職人さんです。初代当主は1620年(元和6)に丹波福知山より初代藩主の有馬豊氏とともに久留米に入ったそうです。豊氏は利休十哲の一人とも伝えられ、茶道に秀でた人物とされています。9代目藩主の頼徳は自ら茶陶器を作るなど茶の湯や能楽を好み、芸術・文化を奨励したことが久留米の菓子文化の発展につながりました。

 また、久留米は筑後平野の豊かな穀倉地帯にあり、米や麦といった菓子の原料が身近にあったことやシュガーロードと呼ばれた長崎街道からも近く新しい菓子の技術や材料が入りやすい環境でもありました。

 このような、豊かな自然や恵まれた環境に感謝し先人から受け継いだ技術を継承し次の世代へ伝えていくことも大きな役目といえます。今後も地域の発展や菓子業界の発展に少しでも役立つ活動ができるよう取り組んでいきます。

 久留米菓子協同組合事務局・野口登喜子

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