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羊羹コレクション in Paris

株式会社廣榮堂

羊羹コレクション in Paris 2016年3月17日~20日にかけて、羊羹コレクションin Parisがフランス・パリで開催された。羊羹コレクションは2010年から過去7回、国内で開催されてきたが、今回初めての海外開催となった。廣榮堂を含めた全国の和菓子屋11社がパリに赴き、和菓子の文化と羊羹の魅力について発信した。4日間の会期中、会場にはおよそ2,300名のお客様がいらっしゃり、各社の提供する様々な羊羹についての食べ比べを楽しんだり、製法や素材について質問したりと大変な賑わいをみせた。

 弊社では羊羹コレクションのパリでの開催に向けて職人と話し合い、円形の白い羊羹の上に5種類のドライフルーツをあしらった新作羊羹「果音(カノン)」を開発。岡山県産の備中白小豆と作州黒大豆を使用した伝統的な棹物羊羹「備前古式羊羹」とともにパリでの「YOKAN」ブランドの発信に臨んだ。

 「果音(カノン)」については用意した試食がすぐになくなるほどの人気で、お客様はフルーツの酸味と羊羹の甘み、かりっとした外側の食感となめらかな中身の食感などの対比を楽しんでいるようだった。商品の外観としても色鮮やかなドライフルーツを散りばめたことで色彩感覚豊かなパリ市民に親近感を覚えていただくことができた。また「備前古式羊羹」については、竹の皮に包まれた伝統的な商品パッケージがお客様の目を惹いていた。フランスでは食や生活を楽しむ教養高い人が、和菓子を単なるモノではなく文化の一環として捉える豊かさがあるように思えた。今回は「文化の発信」がテーマであり残念ながら試食の提供のみで販売は行わなかったが、甘さ控えめであっさりとした和菓子の潜在的な需要を感じた。

 今回、初の海外開催を通じて得られた大きな財産は、事前の実行委員会やパリで仲を深めた11社の和菓子屋とのつながりである。1社単独での企画ではなく、同業の11社が「世界に向けて羊羹を発信する」という共通目標に向かって汗を流し、知恵を出し合ったことが羊羹コレクションの成功に大きく寄与したと感じる。会社の枠を越えてひとつの企画に取り組むことは、若手の和菓子屋人材の育成の面でも、各社のステップアップの面でも有効な手段であり、今回の経験を今後の社業に生かす多くの気づきに満ちたものであった。羊羹コレクションin Parisを通じて、和菓子屋の未来に向けた拡がりを強く感じることができた。

 株式会社廣榮堂代表取締役社長・武田浩一

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