全菓連青年部 中・四国ブロック大会
龍馬の生まれた街歩きを行う
第16回全菓連青年部中・四国ブロック大会は、7月6~7日、高知市ザ・クラウンパレス新阪急高知で開催され、約70名の青年部員が参加した。全菓連からは、田村副理事長、高知県菓子工業組合刈谷理事長、ほか槌谷青年部部長が参加した。
大会では、亀井中・四国ブロック長より「毎年、中四国ブロック大会では、梅雨の期間に重なり、大雨や霧等天候が悪いですが、今回は大変良い天気に恵まれ、明日のエクスカーションも楽しみにしております。来年は、菓子大博覧会もあり、ご協力の程よろしくお願いいたします」、槌谷青年部部長より「高知には、思い入れがありまして、お菓子屋仲間の友人がおり、今回が4回目の出張になります。おいしい物が多く、お酒もおいしい。私が修行していた北海道のお菓子屋の先代の会長は、高知の日本酒が大好きで、いつも飲んでいましたので、何かと色々なご縁がある町です。その町で中四国ブロック大会が開催されることは、楽しみにしていました。高知は明治維新を成し遂げた偉人たちの生まれの地です。立役者となった坂本龍馬をはじめ、中岡慎太郎達の熱い心がこの町には息づいていると感じています。社会が大きく変化しようとしている時期だからこそ、本日の中四国ブロック大会に我々が集まり、お菓子の未来を考え、お互いのお菓子を知り学ぶことで、新しいお菓子の文化を築ける時間になることを心より願います」、高知県菓子工業組合青年会川渕会長より「高知県の青年会は11名と少ないですが、力を合わせて今回のブロック大会を満足して2日間楽しんでいただけるように、高知流のおもてなしで、皆様を楽しませたいと思います。高知県民はいつも暑苦しいほど暖かく、飲んだらすぐ誰とでも仲良くなれ、初対面の人も自分の家族の様にとても大事にします。失われかけている人と人とのつながりが、高知県には一つの大家族の様に息づいています。家族の暖かさを2日間感じて頂きたいと思います」と挨拶があった。
次に、来賓の高知県尾﨑知事より「菓子作りに、お菓子のビジネスに情熱を燃やしておられる青年部の皆さんがお集まりになられているので、龍馬の熱い地において、新しい菓子作りについてお話を頂ければと思う次第です。高知の色々な素材も、皆様のお菓子作りにも生かしていただければと思います。高知は食べ物のおいしい所として、47都道府県のランキングでは、10年間の調査の内、全国1位が6回、2位が2回になる好成績を収めています。カツオのたたきが定番の様でありますが、野菜や果物もおいしいです。小夏や文旦など、キャラの立っている果物もあり、素材選考に生かしていただければと思います。そして、人間関係作りに欠くことのできない、おいしい端麗辛口の良いお酒があります。飲んだら友達みたいなところがありますので、街に繰り出して多くの人と仲良くなって頂きたいと思います」、高知市岡崎市長より「高知は、特産品がたくさんあります。旬の物をお菓子の中に織り込む、例えば代表的な柚を使ったお菓子を開発していただいています。高知は坂本龍馬の出身地でもあります。龍馬はネットワークの天才でもありましたので、この高知で中四国ブロックの皆様方が、新しいネットワークを築いていただければ幸いです」、上田県議会議員・高知県菓子工業組合顧問より「来年は大政奉還150年、再来年は明治維新150年で、来年4月から2年間にわたり歴史を中心とした博覧会、幕末維新博を開催します。表のヒーローが坂本龍馬、陰のヒーローが武市半平太と言われています。そこで、武市半平太の映画化を進めています。龍馬と共に亀山社中を設立した近藤長次郎は、饅頭屋の子息であり、その役を青年部か関係者にお願いし、和菓子の素晴らしさを、メディアを使って広げる事が出来ないかと、監督に相談しようと思っています」と挨拶があった。
その後、落語家淀屋萬月氏(吉本興業高知県に住みます芸人、高知県菓子工業組合青年会和菓子大使)による講演「高知に暮らして」が行われた。高知に暮らして6年目で、食べ物や言葉の違い、住みやすさの体験談を、冗談を交えて話しをされた。出身の京都ではあまり和菓子は食べなかったが、高知に来て好きになり、色々な和菓子屋を紹介してもらい食べていた縁で、和菓子大使となっている。高知県和菓子大使から中四国ブロック和菓子大使、そして全国和菓子大使になることが野望とあった。その後、落語が披露された。
懇親会では、全菓連田村副理事長の挨拶、高知県菓子工業組合刈谷理事長の歓迎の挨拶と乾杯の発声があった。余興として、淀屋萬月氏による大道芸、よさこい踊りの披露、各県代表者による「菊の花」「可盃(べくはい)」というお座敷遊び体験があった。「菊の花」は、人数分の盃を伏せて並べ、刺身などに添えられている菊の花を隠し、唄に合わせて順番に開け、当てた人がその時点で開けられている盃にお酒を注がれ、全部飲む遊びである。「可盃」は、天狗・ひょっとこ・おかめの形の盃と、面ごとに盃の絵が描かれた6角形の独楽がセットになっており、唄を歌いながら独楽を回し、止まった先の人が、絵柄の盃でお酒を飲む。おかめの盃は小さく飲みやすいが、ひょっとこの盃には穴が開いているので指で押さえながら、天狗の盃は鼻が高くて置けないので、一度注がれると飲み干さなくてはならない。
土佐っ歩に参加
翌日のエクスカーションでは、龍馬の生まれた街歩き「土佐っ歩」を行った。まず龍馬の生まれたまち記念館内の展示の解説を受けた後、龍馬の誕生地、龍馬郵便局、近藤長次郎邸跡、才谷屋跡をめぐり、最後に鰹の藁焼きたたきの体験をおこなった。
○龍馬の生まれたまち記念館
記念館は展示館機能と公民館機能をあわせ持つ施設で、土佐の木材と土佐漆喰を使用し、平成16年に建てられた。土佐漆喰は、お城と同じく最初
はベージュ色だが、古くなるにつれ白色になるのが特徴である。
当時の城下町は中心部に上級武士が住む郭中、西側に下級武士・商人・奉公人等が混在した龍馬の生家もある上町、東側の下町と分かれている。下町は各地から移住した専門家集団が居住しており、材木町や八百屋町など職種に由来する町名もある。筆山は鏡川に写る姿と合わせると、習字の筆に見えるのが由来と言われている。代々の藩主の山内家や家老などの墓があり、高知城を見守るように北側を向いている。
○龍馬の生誕地は、戦争で焼けてしまい現在は病院とホテルになっており、碑と案内版が整備されている。龍馬の誕生日は11月15日で、高知市では生誕祭があり、またその日に暗殺された京都では龍馬祭が行われている。
○市内には龍馬郵便局があり、正面に大きな龍馬の像、郵便ポストの上には桂浜の波、地球、龍馬が飾られている。窓口で郵便物を出すと龍馬の絵の消印を押される。個人の名前がついている郵便局は、日本でここだけである。
○近藤長次郎は、大里屋という餅菓子・饅頭屋に生まれた。勉学が好きで才能が認められ、名字帯刀を許された。龍馬とともに、海援隊の前身である亀山社中を設立した。単独でイギリスへ渡航を企てたことが発覚し切腹した。
○才谷屋は、坂本龍馬の本家である。16間×25間という広さはわかっているが、道路が整備され、基点が分からなくなり、正確な位置は不明。
○鰹の藁焼きたたき体験では、鰹を一番火力の強い場所で焼き、外側だけ焼くこと。たまに落とす方がいるが、網を水平に持てば、落とすことはない。自分が燃えないように注意する。風で火が動くから、避ける際、後ろに引くと火から外れるので、火の周りを回り、風上に移動するように、と説明があった。鰹の大きさや脂の乗りによって、焼く時間が変わる。ガスで焼くと臭いが付くが、藁は藁の香りがつくほか、瞬間的な火力が強く、すぐに消えるため、焼き過ぎることがない。表面を炙るたたきを作るには最適である。