次世代への情報発信で和菓子の需要を増やす
当社は香川県丸亀市で創業43年目を迎える和洋菓子併売店です。飯野山(讃岐富士)のふもとにある飯山本店と、同市川西町にある郡家店の2店舗で地域密着型の営業をしております。私は大学を卒業後、愛知県安城市の両口屋菓匠で4年半修業し故郷の香川へ帰ってきました。ここでの修業が私の菓子作りの基礎になっております。
父が創業者で私は現在42歳、2代目として代表になりちょうど10年が経ちました。
最近、和菓子販売で取り組んでいることは新しい需要の創造です。その中で新商品を作ることも大切ですが、今ある商品をこれからの若い世代の方にいかに知ってもらい買っていただくかが重要だと考えています。父から「昔は正月に上生菓子が良く売れた」「お彼岸のおはぎは今よりもっと売れていた」という話を聞かされました。確かに人口減少の世の中ですし、コンビニや大手スーパーが手掛ける商品も多くなり、品質も以前より格段に良くなっていますがそれだけが原因ではないと思います。お客様が知らないだけなのかも知れません。
当社はそんな中、様々な広告媒体で季節行事を積極的にアピールするようにしました。FMラジオに出演して柏餅のアピールもしますし、店内チラシを作り次の季節のお知らせもするようにしております。情報過多の世の中なので即効性は出ませんでしたが根気強く進めることによってここ数年、朝生菓子の売り上げは昨年対比110~130%となっています。近年メディアの影響からかハロウィンの需要が増えたり、節分に恵方巻きをコンビニやスーパーが相当需要を増やしています。全国メディアなどで節句や季節催事をアピールしていただける場が増えれば全国の和菓子の需要も増えるのではないでしょうか。
和洋菓子を併売していて思うのは、和菓子は洋菓子のような華やかさが出しにくい点があります。パッケージや売り場作りも新しい世代の需要を取り込むうえで重要です。若い販売員の手作りのポップやディスプレイで明るく楽しそうな店をつくり、いつ行っても同じ商品ではなく、いつも何か新しい発見があるワクワクするような店作りを心がけています。
また入社して経験の浅い社員に「チャレンジ商品」という制度を作りました。商品企画、材料選び、ネーミング、価格を考えて週末の2日間だけ販売するという企画です。最終のチェックはしますが思っても見ないような商品が出来ることもありますし、定番商品になる事もあります。作った本人は売れるかどうかドキドキしていますが社内のモチベーションアップと次世代の技術者を育てることが目的です。次世代のお客様を作る事と次世代の技術者を作ることを同時進行で行いながらしっかりと経営を行っていきたいと思います。
香川県菓子工業組合・岩倉公紀