磯部温泉 名月堂
古き良きに新しさを添えて
私共の店は、上州群馬の西部、妙義山のふところ碓氷川の流れに沿った静かな温泉地 磯部温泉にあります。
磯部せんべいという上州に古くからある鉱泉せんべいの製造元です。
磯部せんべいは、薄く軽い口触りが特徴ですが、その歴史は重く厚みもあり130年余の伝統があります。
例えば、近頃出版されました「作家のお菓子」という本では、朝吹登水子が幼少期の思い出として磯部せんべいを懐かしむ文章を書いていたり、皇室関係では、昭和29年5月高松宮様におせんべいを献上し事務官の方からお礼のお手紙をいただいたりなど長い歴史を紐解けばいろいろな方々ともつながりがありエピソードとなっております。
磯部せんべいを生み出した先人の知恵には驚きと尊敬を禁じえませんが、どのようにしてこのお菓子を作り上げたのかとおせんべいを口にするたび、今更ながら感動すら覚えます。
老若男女誰にでも受け入れられる味である事や原材料がいたってシンプルである事など素晴らしい黄金比に基づき今でも昔と変わらぬレシピで作られております。
私共では、特に100%群馬県産小麦粉と国産砂糖と磯部温泉の温泉水のみとこだわりを持っており今でも昔ながらの味により近くと製造に励んでおります。
昨今のスィーツブームの中、ケーキなどの洋菓子におされ、「せんべい」というお菓子は、人気度ランキングも低く、ずっと寂しい思いをしてきました。
時代や流行の推移に製造するお店の数も携わる人の数もぐっと減ってしまっている今だからこそ、古き良きを生かし新しく人々に喜んでいただけるような形を作ってゆかなければならないと思っています。
そのために、温泉地磯部温泉としての働きかけも重要になり、温泉ぐるみで執り行える企画を模索してもおります。
磯部せんべいの店舗を訪ねて歩ける「サクサクツアー」などの体験型のイベントなどに打って出ています。
さらには、群馬県公認キャラクター【ぐんまちゃん】せんべいを作り県内県外へのお土産に幅広くご利用いただけますように、商品展開も始めました。
今まで興味を持っていただけなかった新しいお客様への良いアピールになっております。可愛らしく人気者のぐんまちゃんと一緒にますます古き良きを皆様にお伝えすることに今後も力を尽くしてまいりたいと思っております。
群馬県菓子工業組合・櫻井弓子