「夢を与え、見て楽しんで、そして美味しい」菓子を
横浜駅からそう遠くない所に、昭和の時代から庶民の生活を支えてきた藤棚の商店街があります。その商店街の中で昭和13年から初代、2代目へと引き継がれた洋菓子店「ふらんすやま」は建物の外観、店内の造りも落ち着き、昭和49年開設した2階のティールームとともに瀟洒な大人のムード漂う店です。
開店当時の和菓子店として「美味しい」を追及していた頃、横浜には洋菓子店は4件きり無かったし、洋菓子といえばクッキーぐらい、ケーキもバタークリームだったそうです。
味の調和、素材の活かし方が難しく、ただ美味しいは昔のことと努力を重ね、生クリームを使った洋菓子を考案し昭和42年に店頭に出したところ、売れるかどうか心配したが、お客様は生クリームにビックリして、以後生クリームへの移り変わりは早かったそうです。
時代の流れを敏感に感じ取り、お菓子もその時代のお客様の味覚に合わせて変えていくことが大事。今の時代に合ったお菓子とはと常に考え、お客様に「夢を与え、見て楽しんで、そして美味しい」という心を与えられるように、そうすれば2倍にも3倍にも美味しいと感じていただけるはず。それは和菓子でも洋菓子でも同じです。その為には店の方も美味しく見える物を用意し、並べ方も考える努力をしている。また、素材にもこだわり季節のフルーツを使い、コーヒー豆はオールドビーンズのみを使い、紅茶の葉は天然の物からの選りすぐりを使用、美味しいケーキには美味しい飲み物をとのこだわりを聞かせていただきました。
開店当時は和菓子や駄菓子のような物から始め、バタークリーム菓子から生クリーム菓子へ、そして焼き菓子へと展開してきた現在 焼き菓子「横浜散歩道」を販売しています。店頭には美味しそうなケーキと一緒に15ヶ所の地名入り焼き菓子が並んでいました。自慢のスイートポテトには遠方のお客様から美味しかったとの嬉しいお手紙も頂いたそうです。
お菓子を作っていくには家族全員が協力していかないとやっていかれないが、昭和59年に保土ヶ谷店を、平成24年にマークイズみなとみらいに出店。現在、本店では3代目が主として活躍しているとの事でした。これからも、沢山の夢を与えていただけるお店です。
神奈川県菓子工業組合事務・中山尚子