岐路に立つ和菓子業界
時代の流れに追い込まれ
先日、和菓子の事を調べようとネットで和菓子屋と打つと、和菓子屋廃業の文字が出てきて驚きました。時代の流れと言ってしまえばそれまでですが、今、何百年も続いてきた和菓子屋をはじめ、多くの和菓子屋が廃業に追い込まれています。いや、和菓子屋だけではなく、一頃、市内のそこかしこに出来ていた洋菓子屋も苦境に立たされているといいます。
愛媛県菓子工業組合では、松山市が主催する「みんなの生活展」(写真参考)に参加したときにアンケートを採り、あなたはいつもどこで和菓子を買いますかという問いに対し、ダントツで多かったのが、コンビニ、スーパーでした。かつては、和菓子のお店に足を運んでいたのが、身近なコンビニやスーパーでリーズナブルな価格でおいしい和菓子や洋菓子が買えるため、余程その店の菓子でないと駄目だというオリジナリティーがないと、お客さんがわざわざお店まで足を運んでくれなくなっています。
「携帯不況」という言葉をきいたことがあります。つまり、猫も杓子も携帯を持ち、中高生はもとより、最近は小学生までが携帯で親と連絡をして携帯代がかさみ、今までお菓子などの購入に充てられていたお金が携帯代に消え、消費が落ち込んでいるのを携帯不況というのだそうです。いずれにしても、こうした消費動向の変化で、かつて不況に強いといわれていたわれわれ菓子屋が苦戦を強いられているのです。
また、もう10年以上も前になりますが、私の住んでいる愛媛県松山市は、お雛祭りを3月3日ではなくて、旧暦の4月3日に行っていますが、ひと昔前は、3月の彼岸から4月3日のお節句にかけては、もう体がもたないくらいの忙しさで活気がありましたが、ある年から急に節句の注文が極端に減り、今年はどうしたんだろうと思っていると、その年以降、節句の忙しさが段々となくなっていきました。
廃業した和菓子屋さんの中には、後継者がいないというお店が多いですが、中にはなんとかしなければというので、借金をして設備投資をしたが駄目だったという話も聞きました。それぞれのお店で事情がちがうと思いますが、私個人は、今は流れに身を預け、店を大きくしないという経営戦略があってもいいのではないかなと思っています。
東京オリンピックの翌年2021年、何かとんでもないことが起こるような気がしています。
その話は後日。
愛媛県菓子工業組合副理事長・白石恵一