各地の菓子店探訪
宮城県菓子店の投稿

㈲かめや菓子舗

160年続く、地元に 愛される昔懐かしい味

あげパン        昔ながらの懐かしい味で地元で160年以上愛され続けている和洋菓子店が、かめや菓子舗さんです。現在は5代目社長、佐々木久哉さん(宮城県菓子工業組合・副理事長)が、味を受けついでおられます。160年前というと、ペリーが再来し日米和親条約が結ばれた頃になります。そう考えると、かめや菓子舗さんの歴史の長さに驚かされます。かめや菓子舗さんでは昭和の初期から竹駒神社に深く縁のある「稲荷あんもち」というお菓子をつくっており、「稲荷あんもち」は、伊勢神宮名物の「赤福」のように、竹駒神社にお参りをしたら「稲荷あんもち」と言われるほどの名物です。紅白の小さめのお餅で見た目はお上品なのですが、中に香り豊かなつぶあんがずっしりとはいっており、食べ応え十分で、暖かい日本茶のお伴に最適です。

佐々木久哉さん また、かめやさんと言えば、「揚げパン」というほど、「揚げパン」が有名です。開店時間9時と同時に売り切れる事もあり、常連さんでは一人で70個買われる方もいらっしゃるそうです。午前中から取材に伺ったわたしは、まぼろしの「揚げパン」をいただく事が出来ました。もっちりしたパン生地をからっと揚げ、中には程よい甘さの「こしあん」がはいっており、絶妙なバランスで、またすぐに食べたくなる味!でした。地元の方々に愛され、根づいているおやつ「揚げパン」の理由が分かった気がしました。

 ㈲かめや菓子舗さんでは、伝統の味を守り続けながらも、店舗の向かいの老舗酒造「相傳商店」の岩沼市の人気の物産品である「奈良漬」を使ったお菓子の開発にも取り組んでおられました。開発には半年かかったとの事で、奈良漬の触感を残すために刻み方を工夫したり、風味付けにハチミツや酒かすを使い、甘みの中にしょっぱさもある大人のおやつにぴったりの「ナラパウンド」を作り出しました。地元の人気食材を使い知恵を絞った「ナラパウンド」はお客さんにも評判が良く、中には「酒のつまみ」になるという人もいるそうで、伝統の味と共に、あらたな老舗菓子店の人気商品になっていました。

 帰り際には優しい工場長さんからお菓子を頂き、店舗では従業員の方や、お孫さんが、にこやかに挨拶して下さり、お店の雰囲気がとても暖かく、笑顔にあふれていました。160年続く老舗とは商品の味はもちろん、地元に愛され続ける人柄も受け継がれているのだなーとがしみじみ感じた一日でした。

 宮城県菓子工業組合事務局・関根美智子

 

店舗データ

かめや菓子舗㈲かめや菓子舗
宮城県岩沼市中央3-2-1
営業時間 午前9時~午後4時
定休日 奇数日の日曜日