早川ベーカリーのDNA
洋菓子で幸せのお手伝い
「早川ベーカリー」は、1929年(昭和4年)に山梨県内で初めて洋菓子とコーヒーを紹介した店として創業しました。2019年で創業90年を迎えます。
小学校を卒業したら丁稚や見習いとして働きにでるような時代にバター、はちみつ、砂糖、卵といった当時の高級食材を使った洋菓子の専門店は、本当にハイカラなものでした。
甲府市は商業の中心で、特にここでは80年90年の企業はまだまだ新参者で100年以上続く企業もあるので、続いていけるよう日々がんばっています。ご家族何世代にも渡って通い続けてくれるお客様も多いといいます。
10年程前、お店にお客様から「孫がアレルギーで、ケーキが食べられない。孫でも食べられるケーキを作ってほしい」という相談が持ち込まれました。
ご存知のとおり、ケーキには、卵、牛乳などの乳製品、小麦が使われています。そのどれか、あるいは複数の食材にアレルギー反応が出る場合は避けなければなりません。
小麦の代わりにまんじゅうなどで使う米粉で代用できるのではないかと考え、試行錯誤の末、卵、乳製品、小麦アレルギーに対応したケーキを完成しました。
アレルギーがあってもなくても、みんながケーキを囲んで、楽しい時間、楽しい思い出を作るお手伝いが出来たことは、先代からの「幸せのお手伝いをさせていただくことが使命」という教えがあったからだと思います。
現在、早川ベーカリーでは、若い職人達に、洋菓子店を続けて行くために何をしなければいけないのか、何をしてはいけないのか、洋菓子職人を生業としていくための心構えを伝えたいと思っています。
独立した職人も、ここと同じように長くお客様に愛されるお店を続けています。長くお店を続けられる人材を輩出できる事は、早川ベーカリーにとっても誇りだと思っています。
1世紀近くぶれることなく洋菓子を作りお客様から求め続けられる企業として存在できるよう常にお客様を裏切らないことと安心して召し上がれる商品を作り続けてきました。流行に囚われず、自分が美味しいと思って信じているものだけを売っていく、これからも創り続けていきます。
新しい取り組みとして早川ベーカリーの特許を用い、新緑あふれる5月初めに甲府のぶどう畑で収穫された無農薬のぶどうの新芽や若葉を細かく粉してパウダー状にしたものをカステラ生地に練りこみ、焼き上げた「甲府ぶどう葉カステラ」新しい次の世代の甲府ブランドです。
創業者から先代、現オーナーと「早川ベーカリーを守ろう」という人間が受け継いできました。受け継ぐのは技術だけではなく、思いなのかもしれません。
明日もシャッターを開けて胸を張って「いらっしゃいませ」と言えるお店で有り続けたいですね。
洋菓子を通じて、早川ベーカリーのDNAは受け継がれていきます。
㈲早川ベーカリー代表取締役・小川義美