各地の菓子店探訪
茨城県菓子店の投稿

有限会社まるやま千栄堂様を尋ねて

伝統の継承文化を広げる地域に愛される名店

三重県菓子博覧会出展作品 茨城県南部に位置し人口10万4千6百11人(2020年1月調べ)利根川を渡りますと千葉県に入ります、取手市で創業昭和53年、代表取締役丸山良三氏が現在地にて、茨城県北部の大子町より上京し東京杉並区の和菓子店でご修行され、創業されました。

現在ご家族2世代と従業員さん、パートさん合せて8名で製造から販売までみなさんで営んでいらっしゃいます。
 今回は、丸山良三氏の御子息で、専務取締役の丸山卯氏にお話を伺いました。卯氏は大学卒業後、東京の和菓子店へ就職、3年の修行を経て、現在の和菓子店で先代の右腕として始まりました。

和菓子の世界に入りたての当初のお話をしてくださり、卯氏が修行に入った時期は、製菓学校を出ている同僚が多く、卯氏の心に火をつけたのが就職先の店主に「専門学校も出ていないのか」と言われて、悔しさをバネに、人並以上に努力を重ねられたそうです。

その修業時代の経験が今では、修行されているお弟子さんのご指導や、全国では初の親子二代で選和菓職認定、東和会青年部長でご活躍なさっております。

㈲まるやま千栄堂様の経営理念で、日々心におかれている事は「手作り大切にして、季節感じる和菓子作りを、楽しく仕をする事」と、伺いました。

手作りを大切にすると言う事は、作り手の気持ちが、お客様に通じます。そして、こちらでご修行なさったお弟子さんたちが、独立をした時、手が有れば大抵の商品が作れるようになってほしいと言う願いが有ります。手作りだからこそ日本独特の季節を味わえる和菓子が、お客様へ伝わり、喜んで頂けると思います。どこまでも、人を思うやさしい気持ちで、日々営んでいらっしゃるから、楽しく、おいしい、美しい商品が、お客様に伝わっていると感じました。

店内は、入り口を入りますと、お伺いした頃は2月でしたので、広い店内に、つるし雛が沢山飾られて、干支のちりめんで作られた、雛壇も飾られて、すべてお客様手作りの頂き物で、とても明るい雰囲気が感じられました。

ご贈答品から、創作和菓子、上生菓子、朝生菓子まで、それぞれとてもきれいに、並んでおります。次々とたのんでしまいたいほどどれも買いそうになりました。

笑顔で接客なさる代表取締役丸山良三氏 お店のおすすめはと、尋ねますと、とげぬき地蔵最中が、長年お客様に人気だそうです。それぞれ中には、小豆の風味の有る小倉あんに軟らかく甘く煮た栗を一粒、お地蔵さんの絵描かれた四角い、パリパリとした最中の皮で挟んだ商品と、白あんとの二種類で、お土産にも最適だと思いました。店内には、大作の工芸菓子も大きなガラスの建具に展示してあり、とてもインパクトが有りました。

お店を拝見している間に、お客様があとからいらっしゃいました。みなさん常連のお客様で、「ここのお店はいいんだ、接客、商品味、サービス、雰囲気、すべていい」と初対面の私に、仰って下さいました。

私も初めてお伺いさせて頂いて、同じ事を感じておりました。製造も販売も、お店の従業員さん皆さんでなされているという事は、とてもできる事ではないと思います。お一人お一人が、お客様への感謝を、お持ちだからこそ、自然と笑顔で、丁寧な接客ができて、お店の雰囲気に、つながっている素晴らしいお店です。

ご家族を中心に、人を思う心が、お客様へ従業員の皆さんへ、伝わっていてとても勉強になる素晴らしいお店でした。

 茨城県菓子工業組合青年部部長・堀江誠