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沖縄県 首里城、首里知念製菓を訪問

第9回 全菓連青年部交流会を開催

 10月30~31日、第9回目となる青年部交流会が沖縄県で行われた。現在、全菓連の組織は沖縄県には無いため、今回、青年部は現地で菓業を営んでいる方々と交流した。同交流会では、首里城も訪問したが、残念ながら同夜に火災で焼失してしまったため、最後の見学機会となった。他には株式会社首里知念製菓やシークワーサーパーク、オリオンハッピーパークも見学した。

 同交流会の初日は賀数仁然(かかずひとさ)氏をガイドに、沖縄の歴史の説明と首里城を見学しながらの解説があった(詳細は次号掲載)。その後、株式会社首里知念製菓を訪問した。

 知念秀和氏は「岡山県で修業を行い、本土と同じスタイルで和菓子屋を営んでいる。ただ、沖縄では、本土と同じスタイルの和菓子屋は数少ない。修行から帰った当時は、他に和菓子の専門店がなく、茶席では本土から生菓子を取り寄せていた。ひな祭りや端午の節句は、スーパーなどが特設コーナーで販売していた。その後、お客様も味に対し厳しくなり、良いものを購入したいという方が、来られるようになった。現在、当社のお菓子は、法事やお茶菓子にも使われている」と語った。また、店内には様々な木型が多数展示されていた。夜はおもろ殿内(おもろどぅんち)で懇親会を開催、知念氏の他数名が合流、菓子博や和菓子甲子園でつちかってきた関係を深めていこうと沖縄の料理と酒を囲みながら、交流を図った。

首里知念製菓店舗と工場 2日目は、大宜味村にあるシークワーサーパークと沖縄を代表するビールメーカー、オリオンビール株式会社の工場であるオリオンハッピーパークを見学した。シークワーサーパークでは、シークワーサーの実の搾汁から梱包するまでの工程を見学した。工場には売店が併設してあり、果汁原液はもちろん、ジャムや調味料など様々なシークワーサーを原料とした製品が販売されていた。シークワーサーは9月から12月まで収穫ができる。9月収穫と12月収穫の果汁の試飲も可能で、苦みが異なることがはっきりわかる。

 続いて、オリオンハッピーパークでは、オリオンビールの製造工程を見学した。訪問当日はメンテナンス日のためラインは動いていなかったが、案内の方より、オリオンビールの歴史や巨大なタンク、製造能力などの説明を受けた。
 沖縄には「ちんすこう」をはじめ特色のあるお菓子が多数あるが、その多くは琉球王朝時代に中国や日本、欧州の菓子文化が融合して発達したものだそうだ。しかし、琉球王朝が消滅するまで、それらが庶民の口に入ることはなかったという。王宮という極めて限られた市場向けに生産されていた菓子が、庶民を含む大きな市場に解き放たれ、今日の沖縄菓子文化興隆があったといえる。

 現在の沖縄の菓子市場もまた、新たな市場の拡大を見せている。国内からの観光客に加え、急速に増えているインバウンド客だ。沖縄の菓子産業に観光客の存在は不可欠であり、それを意識した地域性、独自性の主張も目を見張るものがある。今回、訪問したシークワーサーパークもその一つであり、未利用の地域産物(シークワーサー)を見事に特産品へ変えて、更に菓子にも使い、付加価値を上げていた。沖縄は今後の菓子業界の課題である新たな市場の開拓、地域特産品の創出という先進事例となっている。

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