各地の菓子店探訪
富山県菓子店の投稿

新商品「おわらパフェ」

コロナ禍の一つの取り組み

おわらパフェ 富山県富山市八尾町の伝統行事【おわら風の盆】は富山市八尾町にて、毎年9月1日~3日にかけて行われ、例年20万人前後の観光客が訪れています。おわらは元禄15年(1702)より始まったとされており、八尾町でおわらに係る私達にとってはとても大切なお祭りです。そのおわらの町八尾町には、おわらを感じさせるお菓子が多数あり、訪れた観光客の皆様に大変喜ばれています。

亀寿堂・苗代屋 合同販売所 しかし、今年はコロナウイルスの影響により、おわら風の盆は中止されることになりました。開催が中止されるのは終戦の昭和20年以来。また、おわら風の盆だけではなく、全国的にもコロナウイルスの影響により例年行われている行事、催事等は全て中止となりました。我々菓子業界に携わるものとしては、売上が落ち込むことは避けられない事態となってしまいました。

 このような事態だからこそ出来ることもあるのではないかと思い、かねてより考えていた新商品【おわらパフェ】を販売することにしました。おわら風の盆の踊り、編み笠を被って踊りを踊っている様子を表しているパフェ。編み笠の形のもなかの型は同八尾町のお菓子屋さんが昔使っていたものを特別に許可して頂き、こちらも同八尾町の「高野もなか店」様に作って頂きました。あつあつのお団子に冷たいアイスをのせて提供したいと考えていましたが、団子の串を手先のイメージとし、アイスに編み笠をのせて踊りを楽しんでいる様子を表現できたと感じております。

玉衣実演 また販売にあたり、わが師でもある「小蔵亀寿堂」様に臨時の合同販売所を開設し、おわらパフェだけではなく八尾町の風情を感じてもらえる商品を一緒に販売したいと、申し出た所、快く引き受けていただきました。

 このように、どのような事態であっても地元菓子店が集い協力しあい、商品を作ることで話題を呼び、新しい市場が生まれていくのではないかと思います。

 また、おわら風の盆は中止となっても、おわらをイメージさせる商品を作ることで、購入して頂いた皆様に、おわら風の盆を感じて頂けるのではないかと思っています。

 この一つの取り組みがきっかけとなり、同業者同志の合同事業が広がり、組合員相互の繋がりがより強くなることを期待し、願いを込めてこれからも取り組んでいきます。

 富山県菓子工業組合・餅の苗代屋・苗代淳也