きんぴらだんご
新潟県の珍しいお団子
新潟県のお土産といえば、笹団子がいの一番に上がると思います。確かに駅の構内や売店には、必ずと言っていいほど置かれています。
そこで今回は、笹団子以外の珍しいお団子について触れてみたいと思います。
今回紹介するのは、きんぴらだんごです。読んで字のごとく、中に餡子の代わりにきんぴらが入っただんごです。きんぴらだんごが何時頃から販売されているかは、分かりませんが、私が子供のころから当たり前の様に食べているわけですから、その歴史はかなり古いと言えるでしょう。普通団子と言えば、中に餡子が入っているものが主流ですが、中にきんぴらを入れたものは全国的に見ても、極少数ではないでしょうか。このだんごは主食としてもおやつとしても最適です。この事が、今まで永年に亘り皆様に愛され、食べられ続けてきた理由だと思います。
ところで、きんぴらだんごはこの原稿を書くまで、新潟県全域で食べられているものと思っていましたが、実際はほぼ新潟市を中心とした地域で食べられていて、一部三条市周辺や弥彦村で食べられています。井の中の蛙とはこの事で、自分の周りに当たり前の様にあり、何時でも食べられるという事が、他の町でも当然在るものと思いこみをさせたものと思われます。
では、何故新潟市にきんぴらだんごが広まったかと言うと、新潟県は米どころであり、ある意味農業県でもあり、新潟市には田んぼに畑が多い。従って田植えや稲刈りの他、畑仕事の昼食に手軽に食べられて重宝された事から、広がったと言われています。今で言うファーストフードのはしりと言えます。
その他、新潟市は餅や団子を主商品とする餅屋さんが数多く存在した事も、きんぴら団子を流行らせた一因と考えられます。
ただ現在では、きんぴらだんごを製造しているお店が少なくなって来ていますので、今後どの様な形で継承させていくかが課題と言えます。
最近では、新潟名物の笹団子にきんぴらを入れた物も販売されていますので、新潟にお立ち寄りの節には是非ご賞味してみては如何でしょうか。
新潟県菓子工業組合専務理事・古川雅英