仙台駄菓子
宮城県の知られざる名産品
仙台というと、どんな名産品やお土産を思い浮かべるでしょうか?
牛タン、ずんだ、笹かまの影に隠れて、あまりその存在を知られていない「仙台駄菓子」はご存じですか?江戸時代から脈々と受け継がれている、伝統的で素朴な仙台駄菓子は仙台の数ある名産品のひとつであり、水飴や黒砂糖、穀物を使い、昔ながらの手作りで作られています。
仙台駄菓子の歴史は、伊達政宗公が活躍した江戸時代までさかのぼります!
当時、庶民は白砂糖を口にすることを贅沢と禁止され、族階級が食べるもののみに制限されていたため、町民たちは黒砂糖を使った菓子しか口にすることができませんでした。黒砂糖を使ったお菓子は「雑菓子」と呼ばれていましたが、「粗悪なもの、つまらぬもの」を意味する「駄」をつけて「駄菓子」と呼ぶようになりました。駄菓子の地位はあまり高くありませんでしたが、それは逆に、駄菓子が庶民に親しまれる理由となりました。
当時、伊達政宗は茶の世界にも精通していたので、伊達藩では茶の文化とともに菓子も盛んに作られ、茶の湯の発展とともに和菓子の技術や文化が庶民の間にも浸透していきました。
「仙台駄菓子」という固有名が付いたのは昭和30年頃と言われています。種類の豊富さと味わい深さが評価されたのが理由でした。ほとんど同じような材料から様々な形と食感を生み出す駄菓子は、今も手作りが中心です。同じ種類でもお店によって味が異なるのも「仙台駄菓子」の特徴であり、奥深さでもあります。
長い歴史をもち、庶民的なお菓子として親しまれた仙台銘菓、仙台駄菓子。その小さな形と素朴で優しい味わいの中には、素晴らしい歴史と技術が詰まっています。今は若い世代に向けた可愛いセットもありますが、懐かしい味わいの「仙台駄菓子」は、いつまでも後世に伝えていきたい一品である事には変わりありません。
是非、仙台に来た際には、お茶請けにぴったりな「仙台駄菓子」をお土産に、ご家族で楽しんで頂けたら嬉しく思います。
宮城県菓子工業組合事務局・関根美智子