神奈川県菓子店の投稿
松月堂
横浜が誇る老舗の和菓子店
横浜駅から市営地下鉄で一駅の三ツ沢下町に降り立つと幅広い道路に出た。『松月堂』に行きたいと尋ねた人に「この道の下を地下鉄が通っているんだよ」と教えて頂いた。
駅から五分弱歩くと、歴史を感じる老舗の構えの「松月堂」に着いた。店では社長の藤沢さんが迎えてくださった。その後ろには全国菓子博覧会の賞状が飾られている。第二一回「錦祥華 名誉大賞」、第二二回「バターどら焼 有功金賞」「横浜銘菓港の丘」には名誉金賞とあった。
バターどら焼は小豆とバターのハーモニーの絶妙な味が口中に広がり思わずにっこり。又お勧めの「栗もなか」は全菓博の金賞に輝いた物であり、伊勢神宮献納の品で感謝状も戴いた一品。甘い味の白餡と少し甘みを抑えた小倉餡がありどちらにも一粒の大きな栗が入っている食べ応えのあるものだ。
ショーケースを覗き、思わず【可愛い】と呟いてしまった創作和菓子が一杯並んでいる中から、今は初冬バージョンと出されたのはお茶席の和菓子『冬支度・銀杏・深山路・洛葉・山茶花・初霜』の六種類。また「十二月下旬からはお正月の『松・竹・梅・鶴・亀・羽子板』となる」と言いながら出してくださった。年間で百五十種類位を殆ど一人で作っている社長さんは二代目で、始めは先代の後を継ぐとは思っていなかったとの事でお子様達にも継いで欲しいとは言わないそうだ。以前は神奈川県内六ヶ所のスーパーに納めていたが今では止めて、奥様が亡くなった後も、長年勤めている二人の従業員と社長と三人で家族のようにお店を盛り上げているとの事、何時までもお店の和菓子に囲まれて居たくなるような温かくて素晴らしいお店でした。
神奈川県菓子工業組合事務局・中山尚子