巴堂 高松店
戦国由来の名産品「ぶどう餅」
今回は、巴堂高松店店長の松下理恵子さんに、さぬき東かがわ市名物「ぶどう餅」についてお話を聞かせていただきました。
ぶどう餅とは、4個串に刺した薄紫色の団子状のお菓子ですが、ぶどうの味とかではなく、漉し餡を包んだ蒸し饅頭です。
葡萄でなく武道餅
そもそも、ぶどう餅の由来は…戦国の昔、串に刺した餅を戦力餅として武士の方たちに差出し、武運と身の安全を祈り、この地の氏神様である白鳥神社に供えられる様になった物がぶどう餅(武道餅)の始まりです。やがて、この地の特産品である讃岐和三盆を使ったお菓子へと変わり、名産品「ぶどう餅」として近辺の菓子屋で売られる様になりました。
白鳥神社は日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の御心霊を祀る神社で、戦に明け暮れていた源義経も立ち寄ったとされる場所でして、お正月には弓道大会が行われていたりと、武道の神様的な場所です。余談ですが境内には日本一低い山「御山」があり、標高3・6mの山?を登ると登山証明書がいただけたりするみたいです。
巴堂の由来は、「三つ巴紋」を店名の意匠とし、昭和2年に創業されました。
看板商品であるぶどう餅の赤い包材は、香川の画家和田邦坊氏がデザインしており…赤い色は戦の「赤糸威大鎧」をモチーフにしているとの事で、また内装外装共に武家屋敷調の店舗も同氏の設計によるものだそうです。武道をテーマとした店作りに歴史とこだわりを感じとれます。
ぶどう餅以外にも武道と名前がついた饅頭や最中も手掛けており、柔道・剣道といった武道をされている方達が、大会前には必勝祈願として、お菓子を求めて来店されるとお聞きしました。
高松店の出店は、高松駅周辺でのぶどう餅を主体としたお菓子の実演販売を手掛けるうちに高松店も作るに至り、昨年50周年を迎えることが出来ました。三本松本店とは違ったラインナップもあるみたいで、日々のおやつとしてシュークリームやおはぎなどを求めて来られる昔からのファンも多い店です。
アマビエ焼き
最近よく出ているのがアマビエ焼きといって、鮎焼きをアマビエ柄に焼き印で表現したお菓子で、焼印の手数が多くて職人泣かせの製品ですが、お客様はとても喜んでいただけると仰ってました。最後に今後の展望は?とお聞きしたところ「まだまだ厳しいコロナ禍でありますが、お客様には気軽にお菓子買いに来てもらえるお店にしていきたい」とおっしゃっておりました。池田店長から色んなお話しを聞き、意外と知らなかった地元のお菓子の由来や歴史などを知ることができ、とても有意義な取材となりました。
香川県菓子工業組合・田村正太郎