青森県菓子店の投稿
下北べこもち
供え物から伝統銘菓へ
人口6万人に満たない小さな町ですが、地域の方々、先輩、友人等たくさんの皆さんに支えて頂き、25歳の時にむつ市に戻り、今年で菓子屋として商売して26年となります。
今回は下北半島、むつ市に古くから伝わる「べこもち」についてご紹介しますが、あくまで私が先人より教えて頂いた情報ですので、教えて下さった方々の思い込みも混じっているかも知れませんがご勘弁ください。
まず、「べこもち」には2種類あり、上新粉、上白糖で作る白い生地に、上新粉、黒砂糖で作る黒い生地を重ね、巻き合わせ、切り口が渦巻き模様になる「べこもち」。色々な色で着色した生地を重ね合わせ、切り口が花や動物、キャラクター等の多様性のある柄を作る「べこもち」。現在では学校のPTA、地域の催し等で「べこもち教室」も開催されているそうです。
名前の由来は、白い生地と黒い生地の組み合わせが牛のまだら模様に似ている、製造の過程で牛の背中のようにまとめる等、諸説あるようですが、時期としては端午の節句のハレ食(米が貴重だった)として受け継がれてきたとも言われているそうです。(べこ=東北地方の方言で牛の事。ハレ食=特別な食事)ただ、下北半島は青森県の中でも特に寒さの厳しい地域である為、菖蒲など植物の生育が遅れ、旧暦に近い時期にずれ込み、下北の行事は月遅れで行われてきたとも言われているそうです。
供え物として長い年月先人より受け継がれてきた「べこもち」。下北半島の銘菓として大切にしてまいります。
スマートフォン、パソコンの普及により、生活は便利になりましたが、時代と共に進化する物、又、変えてはいけない物を、お菓子を通して少しでも発信できればと思います。
青森県菓子工業組合むつ下北支部・やまざき製菓・山﨑太郎