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出羽三山神社銘菓奉献祭

献菓祭の祭祀は絶やさずに挙行

羽黒山合祭殿 山形県菓子工業組合の行事として、毎年六月二十日に銘菓奉献祭(献菓祭)を挙行しています。

 会場は、西の伊勢参り、東の奥参りとして全国に名高い「出羽三山神社」の羽黒山合祭殿。

 山伏の修験の場でもある出羽三山神社は、羽黒山(現世利益)、月山(死後体験)、湯殿山(新しい生命を頂いて生まれ変わる)の三つの山からなり、いわゆる凝死体験を通して蘇りを果たす山という類まれな霊山として栄えた神仏習合のお山です。

 その出羽三山神社に山形県内の菓子屋さんが自慢の菓子を持ち寄り、神殿に奉献ののち、宮司を祭司として商売の繁栄と永続を祈願するという、当組合が最も力を入れている行事の一つです。

 今年で六十二回目を数える伝統行事となりました。一昨年、六十回を記念して、全国の菓子屋さんに案内を出し、銘菓の出品を働きかけたところ、沢山の銘菓が集まり、この献菓祭が全国の菓子屋さんの拠り所となりつつあります。

 出羽三山神社では、祭祀の終わった後、この供えられた沢山の銘菓を保育施設や老人養護施設等に寄付をし、大変喜ばれているそうです。

 献菓祭を始めた当初は交通の便も悪く、汽車やボンネットバスを乗り継ぎ、やっとの思いで山門をくぐらなければならず、また、羽織袴やモーニングといった正装での参拝が常でした。その唯一の楽しみとして直会(なおらい)があります。献菓祭終了の後に、斉館で巫女さんのお酌付きの酒盛りが始まるのです。山形県下のお菓子屋さんが一堂に集まり、賑やかな酒盛りです。その晩は神々と共に斉館に宿泊し、翌日またそれぞれの地に帰り家業に励みます。

 何時からか、斉館での宿泊はなくなりましたが、山形市内の菓子屋さんはマイクロバスをチャーターし、献菓祭はもちろん、直会を楽しみに出かけています。

 残念ながらコロナ禍の中、昨年から自粛しなければならず、直会は2年続けて中止せざるを得ませんでしたが、献菓祭の祭祀は絶やさずに挙行しています。

 この新聞をご覧の菓子屋の皆様も是非、出羽三山神社銘菓奉献祭「献菓祭」にご参加ください。ご一報頂ければご案内を差し上げます。

 山形県菓子工業組合専務理事・戸田正宏