~かごっまよかもんみっけ~
鹿児島のお菓子の魅力を再発見
各地域で実施される「公民館講座」。私の居住する鹿児島市では、市の広報誌「市民のひろば」の4月号に前期講座、9月号に「後期講座」の募集が掲載されます。見開きいっぱいに掲載された各地域公民館講座の中から、自分が通える公民館、そして時間帯、興味のある講座を、毎年必ずチェックしています。
そんな公民館講座に、まさか講師として、組合に依頼が来るとは思ってもみませんでした。
その内容は、「かごっまよかもんみっけ」。鹿児島弁で、鹿児島の良いものを見つけたという意味です。講座は、全3回。内容は、「山稜」「薩摩糸びな」「郷土菓子」。その中の「郷土菓子」の講義をしてほしいとの依頼です。
このコロナ禍、この内容で果たして応募者があるのだろうか。また、呆れるほど低額の謝金で、どなたが講師を引き受けてくださるだろうか。90分もの講座の準備に、どれほど時間を要するだろうか。否定的な思いしか浮かばない中で、快く講師を引き受けてくださった木元伸二氏(草紫庵やまぐち店主)には、感謝の気持ちでいっぱいです。
木元氏は「かるかん」製造の動画を準備してくださり、私はパワーポイントで資料を作成しました。作成にあたり、「日本のお菓子の歴史」「一年の行事とお菓子」では全菓連や中嶋神社のある豊岡市のホームページが、また「鹿児島のお菓子の歴史」では、平成27年に協力させていただいた、鹿児島市「ふるさと考古歴史館」の「ふるさとの懐かしいスイーツ」という夏季企画展が、大変ありがたい資料となりました。
いよいよ、講座当日。木元氏は、今村学園和菓子科の非常勤講師と、城西高校パティシエ科非常勤講師もしていらっしゃるので、さすがに落ち着いた滑らかな語り口で、ときおりご自身のエピソードも加えながら、鹿児島のお菓子を紹介し、受講生はソーシャルディスタンスを保った講義室で、熱心にメモを取りながら講義を受けてくださいました。
講義後、受講生からは、「何気なく食べていたお菓子の背景に、こういう歴史があるとは知らなかった」「お菓子の歴史は面白く、知らないで食べていた時よりも、これからは楽しんで食べられる」などと感想をいただきました。
改めて鹿児島のお菓子の魅力を再発見するとともに、どんなに時代が変わっても、甘みであれ、辛みであれ、人々は、生活の中に豊かさと癒しを与えるお菓子を求めていくのではないかと思いました。
鹿児島県菓子工業組合事務局長・惠島理子