コロナ禍の自粛をチャンスに
75歳以上の紋別市民に菓子引換券
どこの地域でも、新型コロナウイルス感染症の影響は大きく、飲食店ほどではないにしろ売上が落ちている店舗は多いと思います。
当紋別市も感染者はとても少なかったとはいえ、あらゆる自粛の影響は大きく自店も大きく売り上げが落ちました。
昨年は例年行われている敬老会も、感染防止のために自粛による中止を余儀なくされ、それに伴い高齢者に提供される市からの菓子折の発注がなくなりました。市内菓子組合で受注をするのですが、大きな損失となりました。
今年になり、ワクチンの接種もいきわたり感染者も減りましたが、万が一の感染予防のためホールに集まる敬老会は中止となりました。その代わりに市から「菓子引換券」なる商品券が75歳以上の市内に在住する高齢者に配布される事になりました。
その商品券は、12月末までの期限で市内の菓子店全店(組合加盟店)で使える商品券です。一人当たり、額面1000円の商品券が2枚配布されました。
商品券であれば、人が集まる事もなく好きな菓子店へ行き、好きな菓子を購入する事が出来、市としては使用された分だけを換金するので、ロスがありません。また商品券は市内菓子店でしか使えないため、他地域へ流れる事もありません。
菓子店としては、敬老会に納める為の大量の包材を仕入れる事もなく、普段売りの商品で対応する事が出来、お客様、市、菓子店、互いにメリットが大きい方法と思います。
商品券が配られた時期は、お彼岸もあり自店も含めて市内の各店舗は商品券を利用するお客様でにぎわいがありました。
実は、この商品券はふるさと納税による税収が財源になっています。
近年、コロナ禍の影響により自粛生活のためか、このふるさと納税の納付額が各地で増えておりますが、北海道の片隅にある私が住む、当「紋別市」は昨年度のふるさと納税額、北海道1位、全国では2位となりました。※令和2年度納税額133億円
この税収は、菓子業界だけではなく、教育、福祉、医療など市のあらゆるサービス向上に役立てられており、一例を上げますと市内の小学校・中学校は10月より給食費が無償となり、タブレットPCが児童・生徒、一人に1台ずつ教材として与えられております。
納税額の多さもありますが、市内各事業所の返礼品も多く約800品目に上がります。
当店も返礼品を提供しておりますが、今年は昨年の300倍以上の件数になり、税額の多さを目の当たりにして驚きを隠せません。1回の発送が数十件あり、店舗1日分の売上を上回る事もあります。ふるさと納税返礼品は、一つの方法と思いますがコロナ禍の自粛によることを、逆にチャンスと捉え、行政を巻き込み地域の活性を目指すタイミングかもしれません。
テレビのワイドショーで、今年に入ってから菓子店の売上が上がっているとの報道もありました。今回のようなコロナ禍による景気の低迷や自粛は、捉え方によっては売上を伸ばすチャンスなのかもしれません。
北海道菓子工業組合紋別支部・高砂屋菓子舗代表・渡邊孝博