各地の菓子店探訪
宮城県菓子店の投稿

伊達瓦せんべい本舗 一茶

100年続く、仙台で愛される昔懐かしい優しい味

伊達瓦せんべい本舗 一茶

 昔ながらの懐かしい味と伝統の技術で、創業大正12年から100年近く仙台の地に根差し、仙台の人々に愛され続けるお店が、「伊達瓦せんべい本舗 一茶」さんです。現在は3代目社長、佐藤明さんが、奥様とお二人で伝統味を受けついでおられます。

 「伊達瓦せんべい」は伊達家の家紋が焼印で押されています。藩主伊達正宗が関ヶ原の戦いが終わった1601年に仙台城を築城しました。仙台城は豊臣秀吉の聚楽第に似せ築かれた本瓦葺きの三重櫓(さんじゅうやぐら)でした。そしてこの時用いられたのが仙台最初の瓦であり、銘菓「伊達瓦せんべい」はこれに因んで作られたとの事です。

 「伊達瓦せんべい」は小麦粉、砂糖、卵を用いカステラの様な味わいに焼き上げた堅焼煎餅で、昔ながらの自然の材料と伝統の技術をいかし、パリパリとした食感と昔ながらの優しい甘みが印象的です。材料はとてもシンプルですが、一枚一枚、端正込めて丁寧に焼かれ、「味わい」「焼き加減」「サクサクした食感」三拍子揃った伝統の瓦せんべいは、私も小さなころから大好きなお菓子です。カステラの固焼きのような感じで、何度でも食べたくなる美味しさです。

伊達瓦せんべい

 また、一茶さんは、伝統の味を守り続けながら新しい試みにも挑戦し、お店には沢山の種類の瓦煎餅が販売されていました。取材当日はとても暑い日で、何を思ったかバスを使わず32度の炎天下を1時間近く歩き到着した汗だくの私に、優しい奥様がお茶請けとして出して下さった、「しょうが」というお煎餅は、厳選された高知産ショウガを用いて、お煎餅一枚一枚丁寧に手作業によりショウガを刷毛塗りしているというお煎餅で、「しょうが」のほろ苦い甘さと香りと、奥様の優しい笑顔で疲れが一気に吹き飛びました。とても美味しくお茶に合う1品でした。もう1品気になったのが「おつまみ系」を謳う「グリーンピース瓦せんべい」です。こちらはピリ辛と書かれ、「酒のつまみ」になるというお客様もいるそうです。真っ先にビールのアテになる瓦せんべいは唯一無二ではないだろうか!ビールが美味しいこれからの季節にピッタリ!!などと考えていたところ、佐藤さんに「ワインに合うんですよ」と、オシャレな提案を受け、瓦せんべいの可能性に感服いたしました。

 佐藤さんと奥様お二人で丁寧に作っている歴史ある「伊達瓦せんべい」は、お二人の暖かい雰囲気と笑顔が、瓦煎餅の優しい味と通じるところがありました。仙台にお越しの際には是非足を運んでみてください。大切な方への手土産や、ホッとした時間を過ごすための自分のご褒美に、食べたら幸せになれる優しいお菓子が待っています。

 宮城県菓子工業組合事務局・関根美智子

店舗データ

伊達瓦せんべい本舗 一茶
本 店:〒983-0838 宮城県仙台市宮城野区ニの森3-6
電 話:022-792-6778
定休日:奇数日の日曜日