原発事故を超えて
仕事を通じて復興に協力を
福島を襲った大震災と原発事故。 その影響で私は地元に帰る事が出来なくなった。 私の地元は浪江町津島地区という土地。 家族、 友人が居て、 緑豊かで静かで都会には無いものが沢山ある大切な場所だった。 そんな津島も今現在、 高い放射線濃度で汚染されている。
私は地元を離れ、 福島市の福々和本舗という製菓店で仕事をしている。 昨年の十月にこの店に婿入りし、 製菓の世界に飛びこんだ。 この仕事に就く前は自動車会社に勤務しており、 製菓業界の知識は全く無かった。 正直な話、 希望より 「自分に勤まるのだろうか」 という不安のほうが大きかった。 そんな私を妻、 義父、 義母は温かく迎えてくれた。 実家の両親もこの仕事に就くことを最初は反対していたが、 徐々に理解してくれる様になった。
そんな時、 東日本大震災が私達を襲った。 幸いな事に家や家族は無事で、 店も震災から一週間後に営業を再開することが出来た。 「さあ、 これから福島の復興の為に頑張ろう!」 と思っていた時、 地元津島が放射能汚染され、 家族が福島市に避難した事、 福島市も放射能汚染された事を知った。 何故自分達がこんな思いをしなければならないのか?何故平穏な生活を奪われなければならないのか?私は憤った。 原発、 東電、 国を憎んだ。
そんな憎しみに駆られた私を妻、 家族、 友人が救ってくれた。 優しい気持ちを取り戻そうと言ってくれた妻、 風評被害に負けずに店を経営する義父と義母、 たくましい位に新しい生活を始めた実家の両親、 こんな時も笑顔を忘れない友人。 皆のお陰で福島で頑張ろうという覚悟が改めて出来た。 自分の微力な力では出来る事は多くないと思うが、 仕事を通じて福島の復興に協力出来たらと思う。 まだまだ収束が見えない原発事故だが、 乗り越えて失ったものを必ず取り戻したいと思う。
必ずかえっぺ、 津島!
福々和本舗・佐久間昂史