純欧風菓子店 ラウータ・ブルネン
流行にとらわれない事が個性に
大分市の中心街で昭和46年12月に開業して以来、比較的に流行の移り変わりが速い洋菓子業界で、約40年間そのスタイルをほとんど変えずに、常連客のハートをしっかり掴んでいるのは、純欧風菓子店 ラウータ・ブルネンを経営する藤田勝保氏。
誰もが思い浮かべる洋菓子店は、おそらく外観も華やかで、ライトアップされた店内に入ると、彩り鮮やかなケーキがたくさん並んでいるといった感じではないかと察するが、ラウータ・ブルネンは、現代風の洋菓子店のイメージとは違う、昭和を感じさせる「町のケーキ屋さん」といった雰囲気を持っている。店の外観も冷蔵ケースに並んだケーキたちも、至ってシンプルで、アラフォー世代の私は、店内に入ると子供の頃に母親に連れて行ってもらったケーキ屋さんのような懐かしさがとても新鮮に感じる。
ただし商品の見た目は昔のままだが、味にこだわり、洋菓子一級技能士でもある藤田氏は、時代に合った甘さや食感の追求を怠らず、とどまることのない消費者ニーズの多様化に対応している。なので、こちらの商品全般に言えることだが、外見はそのままでも、中身は必要に応じて進化し続けているようだ。その中でも特にモンブランは、昔のままの貴重な姿でありながら、口に入れてみると、記憶にあるそれとは食感も風味も違っていて、良い意味での違和感もある。自家製のマロンクリームには大変こだわっているようで、新栗の時期に合せ丁寧に加工しているため毎年11月からの販売なのだが、販売担当で奥様の美根子さん曰く、それを待ちきれずモンブラン目当てに訪れるお客様も少なくないとのこと。
業種に関わらず会社を長期継続することが困難な時代に、開業時から変わらぬ定番商品にこだわり、飾らぬ笑顔で直球勝負を挑み続ける藤田夫妻には、ラウータ・ブルネンと共に育った根強いファンのために、ケーキと一緒に懐かしさを末永く提供してもらいたい。
大分県菓子工業組合事務局長・早瀬大雄