各地の菓子店探訪
山梨県菓子店の投稿

和洋菓子に特産品を活用

プリンや団子がヒット商品に

よんぱちぷりん 山梨県北杜市武川地区の特産米である農林48号は、冷めても美味しく、ふっくらとした柔らかさを長時間キープできることから、さまざまな食材として重宝されている。国道20号・牧原交差点を横手地区方面に入り、約50メートル先にある和洋菓子店「秋月」でも、このコメを使ったスイーツ類が人気だ。

 同店2代目店主が考案したのが「よんぱちぷりん」。炊いた農林48号を砂糖や牛乳と一緒に煮込んで、コメの粒々とした食感が楽しめるのが特徴で、多いときは一日100~150個売れるヒット商品となった。「よんばち焼き団子」には、農林48号の米粉を100%使用。「きめ細かく、とろけるような食感」となっている。

 「地産地消」をコンセプトの一つにしているという同店は、コメにとどまらず、さまざまな材料を地元から調達している。タルトに使うイチゴは市内産。草餅には、日本滝百選に選定されている精進ヶ滝付近で採取してきたヨモギを使う。「水や空気がきれいな北杜市内には、新鮮で美味しい素材がたくさんあります。特色あるスイーツを作るには、もってこいの環境ですよ」と店主は話す。

 同店は店主の父が昭和41年に創業。開店当初は和菓子専門店だったが、東京で洋菓子の修業をしていた店主が家業を手伝い始めた平成7年から洋菓子も手掛けるようになった。71歳となった父は今でも現役。和菓子を父、洋菓子を店主が作り、店主の妻が接客や配達を担当。忙しいときには店主の母も店頭に立つ。

 「父の時代から、丁寧な商品作りをモットーにしてきました。健康志向が強まる中、砂糖を控えめにするなど、時代のニーズに応えられるような工夫もしています」と店主。「自然に恵まれた北杜市は食材が豊富。この恵まれた環境を活かして、この地域ならではの商品のラインナップをさらに増やしていきたいです」と夢を膨らませている。

 山梨県菓子工業組合組合員・柏木則仁