『無塩味噌』使用のお菓子開発へ向けて!
県食品研究センターと共催で研修会を開催
2月25日、新潟県食品研究センターと新潟県菓子工業組合の共催で『無塩味噌』を使用したお菓子の開発をテーマとして、研修会を開催しました。
発酵食品で健康に良いとされている味噌ですが、一方、塩分を気にして敬遠されている方も多いのではないでしょうか。
このたび、新潟市IPC財団を中核としながら、新潟市南区にある石山味噌醤油㈱など産学官で作る共同研究体が、塩を一切使わない「無塩みそ」の醸造技術を確立し、昨年秋には一部商品化して、市場に出回っています。
味噌は、これまでにも味噌餡や米菓の調味用途に用いられ、数多くのお菓子が市販されていますが、最近は「和食」がユネスコの世界文化遺産登録を受けて、「和」スイーツなるジャンルも登場し、健康に良い無塩味噌は今後ますます注目されることと思います。
当日は、石山味噌醤油㈱より無塩味噌の開発経緯や特性についてのお話があり、その後、県食品研究センター穀類食品科の高橋誠主任研究員による「菓子利用性について」の講義があり、酵素活性の測定や団子の経時硬化や冷解凍時の硬化抑制等、物性に与える影響を調査した結果等の発表がありました。
また、無塩味噌を使用した「ロールケーキ」や「まんじゅう」など和洋菓子約10種類ほどを組合員が試作したものを持ち寄り、参加者に試食をしてもらいました。
味噌の配合などは、各店舗の自由としたため、味噌風味たっぷりのおまんじゅうや、ほんのり香ってくる味噌風味の「浮島」があったりと、参加者はそれぞれの食べ比べをし、違いを味わっていました。
食品研究センターでも、「カスタードクリーム」を試作して頂き、一般的な「カスタードクリーム」との比較ができ、色調も褐色がかり味噌を配合した特徴が表れ、商品化へ向けて一歩手が届いたように感じました。
米粉パンへの利用も可能で、「無塩味噌」が今後注目されていくことは間違いないと思われますが、一般の味噌と比較し価格面では割高のため、使用量の工夫を重ねながら、店独自の風味が打ち出せることを願っています。
毎年開催している研修会ですが、組合員の関心は高く、35名の参加者は最後まで熱心に聞き入り、何とか自分の店で使えるものはないかなど一様に真剣な表情でした。
消費税増税で消費者の懐のひもが固くなり、売上低迷に悩むお店も多いことと思いますが、健康志向の強いシニア層をターゲットに「無塩味噌」使用の商品を推し進め、消費の拡大を図ってみてはいかがでしょうか。
新潟県菓子工業組合専務理事・蒲沢百合子