「阿波ういろ」
故郷の味を全国へ
徳島の「ういろう」と言えば、和三盆を使用した蒸し羊羹。幼い頃のイベント事には祖母がよく、ラップにくるんだ手作りういろうを持参し、食べさせてくれた思い出。それだけ私には身近なお菓子であり、親しんできたお菓子でありますが、それが、徳島の伝統菓子である事は、最近まで知りませんでした。その徳島の「ういろう」の歴史は深く、江戸時代にさとうきび栽培が徳島に伝わり、和三盆糖ができたのが始まり。そのお祝いに3月3日の節句に食し、今でもお祝い事や子供の成長を願う食卓には、ういろうを食べる事が習慣とされ、今でも受け継がれています。私の家では、旧暦3月3日付近になると嫁ぎ先の母から、色付き寒天とういろうが届き感謝する気持ちと同時に、徳島独自のあたたかい文化を、次の世代の子供達にも受け継いでほしいと思うものです。
徳島県南部のういろうは「金の延べ棒」を形どったと言われる独特の形で、切ると断面が三つ葉形に。他の地方に比べ餅米が多く、よりもちもちしているのが特徴。お店や地域によって少しずつ作り方が違うその個性の集まった阿波ういろを、それなら徳島の色んなお店のものを食べてみようと急きょ「阿波ういろ」を食べる会を開催しました。(といっても主力メンバーは事務局2名なのですが)小豆、餅米、米粉、砂糖、シンプルな素材を混ぜ合わせ同じ原料なのに、少しずつ味が違う、形が違う。だけど、どれを食べても、甘さ控えめで素朴な味。なんといっても独特の「もちもち」感がやみつきになってしまう。そしてどこか懐かしい味で、小麦粉や卵など食物アレルギーが不安な小さい子供達にも食べて受け継いでほしい味です。実際、総合的な学習や地域の食育の会などで、作っている所もあり、給食にも取り入れられた事もあるそうです。この味を伝えていこうと、徳島県菓子工業組合青年部が力を入れている「阿波ういろ」のブランド化。徳島県のういろうの名称を「阿波ういろ」と統一し、徳島県出身である瀬戸内寂聴さんもラベルの製作にご協力下さり、地元の応援に力を注いでくれてるとの事です。個人的にも、阿波ういろの全国デビューを心待ちにし、これをきっかけに徳島県の良さをもっともっとアピールする良い機会だと思っております。最後になりましたが、「阿波ういろ」について色々ご教示頂きました理事様に感謝の気持ちを込めて
徳島のお菓子がつなぐ幸せづくり
徳島のお菓子を全国へ
徳島県菓子工業組合事務局・浦西美智子