嚴島神社にて献菓祭開かれる
業界全体の発展を祈念
去る10月21日、宮島の嚴島神社本殿において、広島菓道奉賛会による「第59回献菓祭」が執り行われました。
広島菓道奉賛会は、昭和三十年(1962)に広島県下の各製菓業団体の理事ら9名が発起人となって結成された団体です。会の趣意書には、次のように書かれています。
「今や戦后十年を閲するも社会万般の事象猶安泰を得るに至らず、就中世人の神仏をややともすればないがしろにする風潮の如き滔々として、実に人心の帰趨はその赴く処を知らずの観があります。併し乍らこの世相の中にあつて、これを慨嘆し之を黙視し得ずとする識者の少なからずあることも疑をはさみ得ぬところであります。
小生等又之を憂うる者の一人でありましたが、今般製菓を業とする者相集い、家業の菓子を通じて神に仕えそれによつて心自らの安らぎを得ようと念願し、この心情堪え切れず広島菓道奉賛会の結成を致したのであります。
何卒本会の趣旨にご賛同下さいまして絶大なるご支援を賜りますよう衷心よりお願い申し上げます。 昭和三十年 九月」
嚴島神社は推古天皇即位元年(593)の御鎮座で、以来千四百有余年という長い歴史を有します。御祭神は九州博多の宗像神社三女神とされ、日本全国から厚い崇敬をいただいています。またご存知の通り、平成八年(1966)にはユネスコの世界文化遺産に登録されました。今後は国内のみならず世界の人々に知られ、人類の遺産として守られていくことになりました。
発足以来、その霊験あらたかな嚴島神社に広島県下の菓子屋が集い、毎年事業を行なってまいりました(一時は広島市内の護国神社と交代で開催していた時期もあるそうです)。神前に菓子を奉献して御神霊をお慰めし、各社の繁栄と業界の発展を祈願する祭事です。
当日は広島県菓子工業組合の県内各支部はじめ、広島県洋菓子協会や同業他組合から45社の菓子の奉献があり、各社から26名が本殿に参列しました。
発起人由縁の若手と青年部代表の4名が給仕となり、鮮魚や酒に加えて、各社の菓子を神饌として運びます。宮司の祝詞奏上に続き、参列者全員でお祓いをしていただいた後、撤饌を賜って下がります。
本殿の参拝客や外国人観光客の注目を浴びつつ、終始荘厳な雰囲気で神事を執り行いました。
来年は節目の第60回となります。ぜひ盛大に執り行ない、菓子業界全体のますますの発展を祈念したいと存じます。
広島県菓子工業組合青年部会長・竹内恒彦