「餅一筋に120余年」の店
有限会社 中納言
高知市中心地の大橋通商店街に店舗を構える有限会社中納言さんを訪問し、取材させていただきました。
創業は明治20年頃、現在の場所において初代安藤治三郎氏が〝もち・だんご〟などの商いを店先でおこなったのが始まりになります。今回お話しをしていただいたのは、本店の責任者である店長の有澤さん。現在4階建てのビルを構えておられ、1階が店舗になっており、餅・赤飯・和菓子類の販売コーナーのほか奥には喫茶コーナーもあって、お忙しく働いておられる中こころよく応対してくださいました。
有澤店長は、「私どもは、日本の誇る食文化の代表ともいえる〝餅・赤飯〟を製造しております。ごまかしのきかない食べ物だからこそ《素材》にこだわり、小さな仕事にも手を抜かないよう真心を込めて作るように心掛けています」とおっしゃっておられました。
2代目の庄太郎氏の時代は戦前戦後の食糧難で〝餅〟どころではなくなってしまい、一時期はアイスキャンデーなどの販売もして生計を立てていたようです。
3代目禎彦氏が昭和26年に今迄の個人商店から有限会社中納言を設立されました。社長になってから、工場を高知市天神橋へ建設し、それに伴い販売も飛躍的に伸びていったとのことです。
昭和53年にはその工場が手狭になってきたので、今度は高知市高須に移転。年末の忙しい時期に対応できるようにして、和菓子類の品ぞろえにも力を入れたそうです。また、平成11年に最新設備の衛生的な工場にするべく、高知市東雲町に再度建設移転。平成12年に4代目裕治氏が社長に就任された折には、量販店を通して高知県下へ販売を伸ばし、餅の老舗は中納言という地位を不動のものとしました。
今現在は、平成24年に一臣氏が5代目として社長就任をされております。現社長は「創業以来の伝統は守りながら、今の時代のニーズにあった和菓子作りにも研鑚を重ねていく所存です。人生の節目、お祝い事に欠かせない祝い餅・赤飯・祝饅頭など代々受け継がれています。このかたちは守り発展させて頑張って行きたいと思います。」と話されております。
老舗の中納言さんの〝餅一筋に120余年〟という言葉がわかったように思い、御社の益々のご発展をお祈りして取材を終えました。
高知県菓子工業組合事務局長・森下広和