苓北町「黒瀬製菓舗」
天草の特産品を使ったこだわりの菓子作り
天草は熊本県の南西部に位置する島々で、周囲を東シナ海・有明海・八代海という3つの海に囲まれています。美しい青い海に浮かぶ大小さまざまな島や緑深い山々などが織り成す雄大な景観を持ち、映画の舞台などにもなっています。また南蛮文化やキリシタンの歴史を伝える施設なども多数あり、自然と文化に育まれたところです。
そんな風光明媚な天草にある「黒瀬製菓舗」は創業100年以上続く和菓子屋の老舗で、現在7代目社長と8代目が力合わせて頑張っております。
黒瀬製菓舗では手作りを基本に心を込めてお菓子を作っており、お菓子には一切添加物を加えていません。
また全国菓子大博覧会では、開催当初より数々の賞を受賞しています。
現在8代目の黒瀬友希さんは熊本県菓子工業組合の組織強化委員長として組合運営にも携わっています。
黒瀬友希さんは高校を卒業後、東京の「亀屋本店」さんで6年半修業後平成7年に地元に戻り家業の「黒瀬製菓舗」を継ぎました。継いだ当初はまだカステラと羊羹がメインでしたが、どら焼きを手掛けてメイン商品とし、平成14年の熊本菓子博ではどら焼きで金賞を受賞しました。
同時に開発をしていたのが、現在黒瀬製菓舗の看板商品でもある「柿゛大将(がきだいしょう)」です。干し柿の中に独自に開発した餡を詰めたお菓子で、平成20年の兵庫菓子博で金賞を受賞しました。このユニークなネーミングは、開発当初3歳だった息子さんをイメージして、子供とともにお菓子も成長するようにと願いをこめてつけました。
その後も新しいお菓子を開発し現在50種類のお菓子が店頭に並んでいます。
中でも天草の特産品のイチジクを使った「天草南蛮柿ようかん」アオサを使った「海味の塩ようかん」は「天草謹製」という、厳しい審査に合格した逸品だけが認定されふるさとブランドに今年2月に認定されました。
和菓子離れが続いてる現在、基本に忠実なお菓子を作りながらも新しい商品、今風の商品を開発し若い世代にも和菓子に興味をもってもらえるようにしていきたいと語る黒瀬友希さん。「柿゛大将(がきだいしょう)」のネーミングのもとになった現在20歳になる息子さんがおり、和歌山の高野山の「かさ國」さんで修業をしています。
「柿゛大将(がきだいしょう)」が立派に成長し、9代目として黒瀬製菓舗の後を継ぐ日も遠くないでしょう。
熊本県菓子工業組合事務局・野田尚美