肥後もんど
肥後伝承焼き
名刺の裏を見ると「味です。技術です。伝統です。手焼きひとすじ。そのやです」
こだわり抜かれた職人に思います。そして商品に対する気持ちがいっぱい。
熊本県熊本市から少し離れた閑静な豊かな場所に有限会社そのや田上啓二さんの所に訪問しています。親父の代から始まり最初の2年間は和・洋菓子屋を経営していました。
商品のアイテムの多さとロスが多く、商品の絞り込みを考え熊本には数少ない煎餅屋に方向を変えました。
啓二さんは、大学卒業後菓業を継ぐ気もなくて、東京の製薬会社に営業として就職され、関東を飛び回っていたそうです。当時バブル期で営業をし、仕事の魅力を感じていました。
そうした中、就職した2年後急遽母親から1本の電話があり、遠回しに「家を継いでくれんね?」と言われました。そのやで長年働いていた職人がのれん分けをする予定だったのですが、末期がんで不幸がありました。
親父は継いでくれとは言わなかったが、長男としての認識があったから継がないといけないという気持ちになり、半年後帰省することになりました。
当時は、菓子の知識がまったくなく親父や県外の煎餅屋のアドバイスをもらい、菓青会にも入会し触れ合いを通じ、菓子の道を真剣に考えるようになりました。
思考鍛錬し、煎餅を1枚1枚丹念に焼き手焼きの味を生かし、1日の煎餅の変化の面白さに気づきました。
菓青会のパッケージ屋さんと知り合い、食べて問答するアーモンドとかけて、「肥後もんど」のネーミングからパッケージを作り、商品は煎餅にバターとアーモンドスライスを混ぜ込み、洋風せんべいが出来上がり主力商品として力をいれています。
いまや親父から受けた商品、自分の作った商品を10種類のラインアップで、手焼き煎餅にこだわり「肥後もんど」の認知度を上げるため、熊本水前寺公園、熊本空港に月に1回の実演販売、熊本城にも販売しています。
「肥後もんど」を中心に、昔ながらの煎餅を展開しています。
なんと熊本市内で、最後の1件の煎餅屋になり肥後伝承焼きを受け継いでいくでしょう。
▽一緒に苦労された奥様に一言
現在休みがないので、奥さんと2人の子どもをかまってやれないので、来春は奥さんと2人の子どもの3人で海外旅行に行くそうです。田上さんもそのうち一緒に。
菓業青年部九州ブロック長・松下利文