各地の菓子店探訪
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氣比神宮神楽通り天清酒万寿店

天保年間から続く伝統の味

酒万寿(上)・皮ようかん(下) 天清酒万寿店は、北陸道総鎮守の氣比神宮(福井県敦賀市)、地元では「けいさん」と親しみをこめて呼ばれている神宮の大鳥居正面に位置する神楽通りにあります。かつて御影堂前と言われたこの地を古くから住まいとし、貸本業を営んでいたところ、天保初年頃の当主が酒まんじゅうの製法を伝授され、貸本業のかたわら酒まんじゅう屋を開業したという言い伝えがあります。

 天保年間の創業より現在までに七代を数え、その間、絶やすことなく作り続けてきた酒まんじゅうは自家仕込みの酒種を使って発酵させる古くから伝わる製法を大切に守っており、地元の皆様には"天清(てんせ)の酒万寿"と親しまれ、また地元を離れて市外、県外へ住まいを移された方々にも懐かしく記憶していただいている、敦賀の伝統銘菓です。

 また、氣比神宮例大祭が9月2日の宵宮祭から始まる頃になると、"氣比さん祭といえば、天清の皮ようかん"と毎年、その売り出しを地元の皆様に待たれている名物があります。この羊羹は、こし餡に小麦粉と砂糖を練り合せ、天然の竹皮に包んで蒸し上げたもので、竹の皮の香りと、蒸し羊羹独特の食感と素朴な風味を多くの方に楽しんでいただいています。氣比神宮例大祭は宵宮祭、神幸祭、例大祭、後祭、15日の月次祭を以って終わる氣比の長祭として有名で、昔はその期間だけの販売でしたが、昨今では祭りから年末までと、4月1日から開催される金崎宮・花換まつりの時期にあわせて作っています。

 今年、4月からは新しい取り組みとして、敦賀の市場発祥の地、また安倍晴明ゆかりの地でもある相生町で月一回開かれている『晴明の朝市』に出店し、実店舗では販売していない、やや小さいサイズで味にも手を加えた数種類の酒まんじゅうの販売を始めました。今後、出店の回数を重ね工夫を凝らして、敦賀の新しい銘菓となるよう育てていきたいと思います。

 福井県菓子工業組合敦賀支部理事・西島淳

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