とっとり和菓子まつり
「女子目線」の新しい可能性
昭和40年代前半には鳥取県東部に100店余りあった和菓子屋が、郊外の大型店舗の進出や若者の和菓子離れのために、現在では36店舗にまで減少してしまった。
沈滞する和菓子業界を再生させるために、観光振興を目的とする女性団体のメンバーなどでつくる「わたしの和菓子みつけ隊」が生まれ、県菓子工業組合と共同で「とっとり和菓子まつり」を企画した。「女子目線」を和菓子つくりに生かすことが「みつけ隊」のミッション(使命)である。
昨年12月にあった初会合では、女性たちから「甘すぎる」「ヘルシーでない」「鳥取のお菓子というインパクトに乏しい」などの厳しい意見が出された。「みためがかわいいものをたくさん食べたい」という要望もあった。それを受けて「玉子せんべい」や既存の「生姜せんべい」や「もなか」にチーズやフルーツを乗せた創作和菓子等々、12種類の新しいお菓子が提案された。
そして2月22日に、鳥取市栄町の「カフェソース・バンケット」で開かれた「とっとり和菓子まつり」は、目標の600人を大きく上回る1500人が訪れる大盛況となった。和菓子の100円即売会は午前中で品切れが続出。600円で、約30種類の和菓子が一時間食べ放題の和菓子バイキングには長い行列ができていた。予想を大きく上回る反響には驚いた。まさに「女子力」の賜物である。
イベント後の新聞紙面には「厳しい意見を言ったが、和菓子が変わる機会になった。急ごしらえのイベントなのに、結束したのはすごい」という地元女子大学生の声と「和菓子はそもそも地域の風土や歴史、文化にねざしたもので、潜在力がある。楽しめる場所が中心市街地にはないと言われる鳥取だが、和菓子はにぎわいを生む可能性を秘めていると感じた」という識者のコメントが寄せられていた。主催者としてはいずれもとても嬉しい、励みになるコメントである。
鳥取県菓子工業組合理事長・小谷寛