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糖類を取り巻く状況について

健康菓子商品開発研究会開催

 一部の例外はあるが、砂糖をボディーや調味素材として使わない菓子は稀である。しかし、近年の飽食傾向と運動不足に糖類への嫌悪感が加わり、即効性エネルギー素材であり甘味の優等生でもある砂糖の地位は大きく揺らいでいる。そこで大阪府菓子工業組合では糖類を取り巻く新傾向を学ぶべく、砂糖代替品のパイオニアである三井製糖と、機能性多糖類や稀少糖のエキスパートである松谷化学工業の二社の協力を得て健康菓子商品開発研究会を開催した。以下にその概要を紹介致します。これらが全菓連会員の製品開発の一助となれば幸いです。

 三井製糖からは、ブドウ糖と果糖が結合した砂糖と化学式(構成元素の数)は同じだが、結合箇所の違う二糖類(二種類の単糖類が結合した糖類)である、パラチノースの機能特性について解説があった。パラチノースは砂糖と違い小腸の入口では無く小腸全体でゆっくりと消化吸収されるために血糖値の上昇が抑制され、インスリンの過剰分泌も防止される。また脂肪蓄積を抑制する効果や満腹感持続効果があり、長時間運動時の低血糖予防効果と運動後の脂肪燃焼維持効果もある。さらに脳機能向上効果やリラックス効果もある。味質はショ糖と似ているものの甘味度は四割程度、粘度は同程度、溶解性は半分程度で、加水分解し難いが、高温での長時間加熱で着色しやすいなどの加工特性がある。これらの特性を活用して、砂糖の一部と置き換えるなどしてスローカロリーな食習慣を提案している。

 松谷化学工業からは、澱粉をブドウ糖と果糖に異性化した糖液中の果糖を、酵素異性化やアルカリ異性化する事によって得られる稀少糖であるプシコース(化学式は果糖と同じだが立体構造が少し異なる)が5%程度含まれる、稀少糖含有シロップが紹介された。

 プシコースは微量ではあるが様々な食品に含まれる天然糖質素材であり、甘味度は砂糖の7割で清涼感がありカロリーはゼロで、非う蝕性や抗う蝕性もあり、食後の血糖値上昇抑制や内臓脂肪の蓄積抑制も期待できるなどの機能特性がある。味質は甘味の切れや苦みの引き立て効果、酸味との相性の良さが特徴で、加熱により変化しやすいので保存温度や高温調理にはテクニックが必要となる。詳しくは両社にお問い合わせ下されば幸甚です。

 何れにせよ、砂糖の良さを認めつつも新素材の研究も怠らずに時代の要求に応える企業姿勢が必要なのは間違いの無いところだろう。

 大阪府飴菓子掛物組合副理事長・豊下正良

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