青森県菓子店の投稿
菓子匠 松栄堂の取り組み
時代の変化を分析したお菓子
当社は創業昭和39年、今年で52周年を迎え、ようやく業界では中堅とされております。
私は二代目として、高卒後、神田「ささま」に、兄は新宿の洋菓子店に、弟は大田区の「鵜ノ木」に、それぞれ修行して技術を身につけ青森に帰ってまいりました。以来、父と共に手づくり感のある生菓子等を中心に製造販売をしてまいりました。近年は時代の大きな変化の中、従来通りの経営では通じないと感じております。時代の変化等を分析し、当社の強みは何かと思考した結果は、元々強い生菓子等(茶席菓子)の強化です。写真にもありますように(夏祭り)、季節祭事用上生菓子を月ごとに提案し、可愛いキャラクターの生菓子も店頭に陳列し、子供さんの強い支持をいただくようになりました。一個一個手づくりに徹し、お客様のご要望にお応えしていこうと思います。
一方、手づくりだけでは商いとしては成り立たないところもできてきます。生産性の高く、利益率の高いギフト用銘菓の開発も必要であると思います。昨年より一年程かけて販売する事のできたお菓子があります。
牛乳菓「なとわ」(津軽弁で「な」は貴方。「わ」は私の意味)です。この商品は北海道新幹線開通(平成28年3月)を記念し、青森商工会議所、青森市の支援をいただき発売されました。
牛乳(北海道:函館エリア)を餡に煉りこみ、皮の上部に津軽りんご(ふじ)を乗せた単純な菓子ですが、発売してから半年で4万個位の販売になっており、今後は倍以上の販売になるよう力を入れてまいります。
このように、手づくり商品と生産性の高い商品を上手に両立させながら、今日の菓子業界全体にある不況感を乗り切って行こうと思います。読者の皆様の商売のヒントになれば幸いです。
青森県菓子工業組合副理事長・畑中和紀