㈲吉野屋本舗
お土産菓子舗が新たな挑戦へ
この春、高知は全国一早く桜の開花宣言が出されました。3月の終わり頃には桜も散り始め、本来ならば4月初めのお花見シーズンには葉桜となってしまい、あっ…という間に季節が過ぎ去ってしまったように感じられたことでした。
さて、今回は高知市大津で営業されている㈲吉野屋本舗さんへご訪問させていただきました。
創業は明治の時代に初代吉野順蔵氏が高知県安芸郡東洋町にて開業。土佐~阿波へ行き来する旅人に饅頭を竹の皮に包んで売ったのが始まりとのこと。土佐を代表するお土産菓子の銘菓〝野根まんじゅう〟を製造している老舗のお菓子屋さんとして4代目の社長吉野誠一氏の奥様が語ってくれました。奥様がおっしゃるには「今は食生活も替わってきて、従来のお土産品を主力の状態では今後厳しい経営になると思い吉野社長が判断をして2012年春に店舗を改築しました。そして、新たな菓子へ挑戦しようとバームクーヘンなど製造して店舗の販売に力を注いだんです。また、来客してくれる方々に製造しているところが見えるよう店をガラス張りにして新しい品を渡せるようにしました。確かにバームクーヘンは目新しいものではないですけど、栗焼酎〝酒〟や黒潮町で製造されている〝天日塩〟などの地元特産の有名な食材を吟味し地産地消に仕上げ工夫しています」とお聞かせいただきました。改装した店舗名は〝FREUNDIN(フリンデン)〟とおっしゃいます。
高知市内の繁華街にも店舗を置き大阪のデパートにも納入しているとのこと。現状に甘んじることなく、頑張っている様子がうかがえました。
今後も高知の代表銘菓〝野根まんじゅう〟と地元食材を使用した〝バームクーヘン〟が両輪となって会社を支えていくという意欲が感じられ、今後ますます発展されることを期待しつつお店を後にしました。
なお、高知県には〝野根まんじゅう〟を製造販売されているところは4社ございます。各社それぞれ厳選した原料を使用し自家製餡にこだわって上品な味わいを出しております。
高知県菓子工業組合事務局長・森下広和