各地の菓子店探訪
高知県菓子店の投稿

オオクラ製菓

品質にこだわった伝統菓子

オオクラ製菓 土佐の古い銘菓として、干菓子といわれる〝ケンピ〟と〝中菓子〟がございます。この干菓子は堅いところから堅干と名付けられ、広く江戸の時代から一般にも売り出されておりました。

 今や高知の古いお菓子の一つとして全国的にも知られております。この伝統のある菓子を製造しているオオクラ製菓さんに話を聞かせていただきました。

 社長の大倉盛男氏は昭和37年に自分の店を持って商いを始められるまでは、それまでの10年位を大手菓子店の職人さんとして勤められておりました。独立した当時は数多くの菓子屋さんがおられる中、袋詰めの自社の卸菓子を問屋さんに認めていただくために商品の品質にとことんこだわり「同じような品物でもここが違うと言えるような菓子作りに日々努力を重ね、少しでも焼き斑があれば廃棄処分にした」と当時を思い出し語ってくれました。

 今では50数年たち、オオクラ製菓さんの方が納入先を選んで卸せるようになったとのことです。

ケンピ(左)・中菓子(右) 大倉社長に〝ケンピ〟〝中菓子〟のことを聞かせていただくと「〝中菓子〟とは、小麦粉をベースに水あめと砂糖を加えて焼いた郷土菓子です。丸い形ですが、中の砂糖が溶けて丸い形にするのがなかなか難しいですよ!」「一方の〝ケンピ〟は、小麦粉ベースに水あめ、砂糖に卵を加えた細長い形の焼き菓子です。今では高知のお土産菓子として人気となっている〝芋ケンピ〟はこの本来の〝ケンピ〟に似たものを〝芋〟で作ったことから名付けられました。昔ながらのこの〝小麦粉ケンピ〟は、ひなびた姿そしてほのかな甘さが持ち味です」と、それぞれの特長について説明いただきました。どちらも、こだわって作っておられるということが話の節々に見受けられました。

 〝中菓子〟も〝ケンピ〟も一見堅そうに見えながら(実際堅いですが…)、でも口の中に入れると舌の上で優しくなじんで溶け、ほっこりとさせてくれるお菓子です。

 大倉社長ご夫妻は70歳台でありながらも「私達はマイペースで商いをし、生涯現役で菓子作りを行いたいと思っています」とおっしゃっておられる姿に元気をもらい、工場をあとにしました。

 この菓子の伝統の味が末永く続くことを願っています。

 高知県菓子工業組合事務局長・森下広和

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