各地の菓子店探訪
青森県菓子店の投稿

㈲ 吉田ベーカリー

おかげさまで受け継がれる心

吉田成人さん 1955年(昭和30年)青森県むつ市田名部町(旧、明神町)で産声を上げた弊社は、当初、先代(私の父)の兄が始めたパン屋さんでした。

 先代ですが、東京で電気主任技術者を務め、電気と家具の店を開業するため、1964年(昭和39年)青森に帰って来ました。ところが、以前から身体の調子が思わしくなかった先代の兄が急に病に倒れ、パン屋さんの存続が出来なくなりました。

 借金もあり、何より職人さん達やその家族を路頭に迷わす事になると悩んだ祖父が、先代に「何とか2、3年で良いからパン屋をやってくれないか?」と言ってきたそうです。切実な祖父の頼みに父も覚悟を決め、パン屋さんを全て買取り、始めたそうです。

 全く畑違いの業種で、始めはかなり苦戦したらしいですが、持ち前の経営センスと時代の波に乗り、業績も数十倍になり、「これはいける!!」と確信した先代は、「有限会社吉田ベーカリー」を設立し、本店と工場を現在の場所(むつ市新町)に移転させました。

 散り散りになっていた兄弟を呼び寄せ、当時の流行のチェーン店を展開し、しっかりとサンドパンを地域に根付かせたのです。

 サンドパンと言えば、弊社のアンバターですが、食パンに餡とバターを塗りサンドしたパンで、当時は餡とバターというと中々有り得ない組み合わせでした。

 アンバターが生まれたきっかけですが、ある日職人さん達が、休憩中にパンの耳にジャムやピーナツクリーム、バターに餡などを付けて食べていた所に業者さんが来ました。いたずら半分で業者さんに食べさせ、反応を見てからかおうとしたそうです。ところが、業者さんは「これ凄い旨いですねー!!お店で売れば絶対売れますよ・・・?」と言うことで売り出したのが始まりだそうです。

 今では、青森県の下北地方の食文化と言われ、学校給食にも度々使って頂いております。

 お近くにお越しの際は是非お立ち寄り下さい。同業者さん大歓迎です!!(青森県むつ市新町9―25)

 追伸、ちなみに私は二代目ですが、三代目も頑張っています。今年五月、おかげさまで四代目が生まれました。宜しくお願いします。

 青森県菓子工業組合理事(むつ下北支部所属)・有限会社吉田ベーカリー代表取締役・吉田成人